崇徳・石岡「悔しいけど、楽しかった」689球 “時の人”注目が力に

[ 2014年9月1日 05:30 ]

<崇徳・中京>準決勝で力尽きた崇徳・石岡

第59回全国高校軟式野球選手権大会準決勝 崇徳0―3中京

(8月31日 明石トーカロ球場)
 50イニング目に力尽きた。崇徳の石岡は先頭打者に二塁内野安打され、犠打野選と四球が絡んで無死満塁のピンチを招いた。後藤に外角直球を右翼線に運ばれ、2点を献上。

 小池の投ゴロの間にさらに失点を重ねた。4日間の激闘。計689球の力投は色あせない。敗者とは思えないさわやかな笑顔で、涙と無縁だった。

 「悔しいですけど、楽しかったです。きょうは泣かないと決めていました。最後は笑って終わろうと。(50回を戦うのは)もうイヤです」

 本職は遊撃手だが、試合をつくれる能力を見込まれ、春先から投手兼任になった。一躍、時の人となった右腕は多数のテレビカメラに囲まれ「注目はモチベーションになった。サイコーっすね」と報道陣を笑わせた。決勝戦は仲間と三塁側スタンドに陣取り、中京の声援に声をからした。

 元気な姿も届けた。地元の広島市安佐南区は8月20日未明の局地的豪雨で大規模な土砂災害が発生した。「優勝できなくて申し訳ないです。すみませんのひと言です」

 疲労は極限まで達していた。「肩と腰がパンパンに張っています」と本音も漏らした。この日が30歳の誕生日だった中河和也監督は「気持ちの強さと馬力がある。求める以上のピッチングをしてくれた。本当にありがとう」と背番号6を称えた。球史に残る死闘で社会現象も巻き起こした今夏。松井とともに主役を演じた石岡は胸を張って球場を去った。

 ◆石岡 樹輝弥(いしおか・じゅきや)1996年(平8)6月19日生まれ、広島県安佐南区出身。安小4年から「安佐クラブ」で野球を始め、投手と遊撃手。安西中では軟式野球部に所属。崇徳では1年夏からベンチ入り。最速130キロ。1メートル67、57キロ。右投げ左打ち。

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2014年9月1日のニュース