814球投げた三重エース「悔しいけどここまで来られたのは奇跡」

[ 2014年8月26日 05:30 ]

<大阪桐蔭・三重>走者としてゲームセットの瞬間を迎えた三重・今井は歓喜の大阪桐蔭ナインを横目に、ヘルメットを空に向かって放り投げる

第96回全国高校野球選手権決勝 三重3―4大阪桐蔭

(8月25日 甲子園)
 今大会の813球目、7回2死満塁で三重の左腕今井は帽子を飛ばしてこん身の直球を投げた。大阪桐蔭の1番中村を詰まらせたが「落ちる」と悟った。ふらふらと上がった打球に中堅手の長野主将が懸命に前へ飛び込んだがわずかに及ばず、逆転の2点打となった。

 安打数でも声援でも大阪桐蔭を上回りながら、紙一重の差で勝利の女神は相手にほほ笑んだ。「強打」が売りであった攻撃面では手堅く追加点を狙ったが、4点目のホームを踏めなかったのが響いた。5回に1点を勝ち越し、さらに無死一、二塁で試みたバントは一塁手への飛球となり併殺。7回1死三塁では仕掛けたスクイズが外された。

 今年4月に三重中京大で則本(楽天)を育てた中村好治監督が就任。熱血漢らしく、今年で還暦を迎えるにもかかわらず、自ら打撃投手を務めて1日250球以上を投げ込んだ。一方で、練習の8割を守備に費やした。初戦敗退した今春センバツで智弁学園(奈良)の岡本に2本塁打された今井も見違えるような投球を披露した。

 指揮官は「優勝するのが一番だが、みんなで一つの歴史をつくれたので満足している。普段の練習があるから甲子園の怖さ、厳しさを乗り越えられた。楽しかった」と手応えを口にし、814球を投げたエースは「悔しいけど、ここまで来られたのは奇跡。甲子園で一番球数を投げられてよかった」と目を潤ませた。

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