指揮官も「期待していなかった」打率・143田村がサヨナラ打!

[ 2014年8月20日 05:30 ]

<ロ・オ>9回 2死 二塁 サヨナラとなる適時打を放ちナインから手荒い祝福をうけるロッテ・田村(中央)

パ・リーグ ロッテ4-3オリックス

(8月19日 QVC)
 ベンチの期待は決して大きくなかった。同点の9回2死二塁。そこまで3打数無安打で打率・143だったロッテの2年目・田村は「代打かなと少し気を抜いていた」と振り返る。勝負強いベテランの福浦、サブローが代打で控える中、そのまま打席に入った。そして1ボール2ストライクからの4球目。148キロ直球に食らいつくと打球は平野佳の足元を抜けて中前に抜けた。

 「当てれば何とかなると思っていたけど、芯に当たったのに球威に負けて打球が遅くて…。投手に当たるなよ、と思いながら打球を見ていた」

 負ければ自力でのCS進出の可能性が消滅する一戦で、伏兵がサヨナラ打。伊東監督は「打率は身長にも満たない。打つ方は期待していなかった」と笑った。前日、川本の出場選手登録を抹消し、この日から捕手は江村との2人態勢。「延長を考えた時、守りを優先したかった」と続けた。

 そんな中での劇的な一打。光星学院(現八戸学院光星)時代は通算37本塁打を放ち甲子園3季連続準優勝した田村だが、プロでは打撃面で苦しんでいた。伊東監督の助言でフォームを改造。一本足をすり足に変え、立てていたバットを寝かせてコンパクトなスイングを心掛けた。そしてプロ通算9安打目、3打点目が「中学時代以来」というサヨナラ打。初のお立ち台で「幸せです」と声を震わせた。

 母校は20日に3回戦を迎える。「甲子園に出ればバットや捕手の道具を贈っているけど(先輩に巨人の)坂本さんもいるので何もしなくていいかな」と口も滑らか。日本ハム・大谷、阪神・藤浪のライバルだった20歳がようやくプロでもスポットライトを浴びた。 

 ◆田村 龍弘(たむら・たつひろ)1994年(平6)5月13日、大阪府生まれの20歳。光星学院(現八戸学院光星)では1年春からレギュラーを務め、2年春から4季連続甲子園出場。3年夏には主将として、北條(現阪神)とともに3季連続準優勝に貢献した。高校通算37本塁打。12年ドラフト3位でロッテ入団。昨季は1軍で7試合に出場。CSでも3試合でマスクをかぶった。1メートル74、80キロ。右投げ右打ち。

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2014年8月20日のニュース