マー君 あっ!フォームが違う テークバック小さく肘への負担軽減

[ 2014年8月18日 05:30 ]

後方で球団職員が投球フォームを撮影する中、ブルペンで投球練習を行う田中

 右肘のじん帯部分断裂で故障者リスト(DL)入りしているヤンキースの田中将大投手(25)が、フォーム改造へ本格的に着手した。16日(日本時間17日)、遠征先で故障後初めてブルペン入りし、直球のみを25球。テークバックの部分をこれまでよりも小さくし、肘への負担を減らす新フォームに取り組んでいる右腕は、9月初旬の復帰への重要なステップで好感触を得た。

 張りつめた空気が流れていた。レイズ戦の開始4時間前、敵地トロピカーナ・フィールドの三塁側ブルペン。マウンドの田中はまず、プレートの端を右手で軽く触った。公式戦登板時と同じ「儀式」を経て、5~6割程度の力で投げた。

 「まあまあ良かったと思います。順調です。(平地と)違いがあった中でも普通に投げられた。大丈夫だと思う」。ラリー・ロスチャイルド投手コーチと球団トレーナーが見つめる中、ノーワインドアップとセットポジションから、直球のみ25球。報告を受けたジョー・ジラルディ監督は「明らかに一歩前進した」と順調な回復を喜んだ。

 右肘のじん帯を部分断裂した田中だが、完治に1年以上を要するじん帯再建手術(トミー・ジョン手術)ではなく、リハビリ療法を選択した。うまくいけば、短期間で復帰できる半面、再び悲鳴を上げる可能性も秘めている。「同じように投げていたら同じようになってしまう」と再発防止のため自身に課したのが、肘に負担がかからないフォームづくりだった。

 田中本人は修正箇所について「もちろんありますけど、皆さんに言う必要はない。ピッチングの講習会をするわけではないですから」と口を閉ざしたが、故障前のフォームと明らかな違いは、小さくなったテークバック。早めにトップの位置をつくり、そこからコンパクトに回す。腕の振りが小さくなれば球威は落ちるが、それだけ肘や肩への負担は軽減される。

 新フォームの感触については「きょうに限って言えば、まあまあ自分のやりたいようにできたかな」と、試運転が上々だったことを明かした。ただ、まだ復帰への初期段階。「これから力が入って変化球も入って、試合の中で力む場面もある。そういう中でできていくかは、その場に立ってみないと」と慎重だ。

 米メディアの取材に対して田中は、チームのプレーオフ争いの動向にかかわらず、今季中の復帰に意欲を示した。「徐々に上げていくことができたらなと思っています」。その表情には投げられた喜びよりも、「ニュー田中」としての復帰を期す使命感がにじんでいた。

 ▼ヤ軍、ラリー・ロスチャイルド投手コーチ そこまで力は入っていなかったが、この時期で大事なのはスムーズな動きをすること。投げられたことが良かった。

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