阪神ドラ1岩貞「絶対に通用する」…左肘痛リハビリ乗り越え救世主1勝

[ 2014年8月18日 05:30 ]

<D・神>岩貞はプロ入り初勝利を挙げ声援に笑顔で応える

セ・リーグ 阪神5-2DeNA

(8月17日 横浜)
 ケガを乗り越え、歓喜の1勝――。阪神のドラフト1位ルーキー・岩貞祐太投手(22)が17日、DeNA戦でプロ2度目の先発。5回2/3で99球を投げ、4安打2失点、6奪三振で、待望のプロ初勝利をマークした。今春キャンプ中に左肘を痛め、出遅れた即戦力左腕の好投で、首位巨人に1・5ゲーム差と再接近。9年ぶりの覇権奪回に、残り40試合を切って「救世主」が現れた。

 横浜商大時代から慣れ親しんだ横浜スタジアムで、岩貞が無心で腕を振った。6回途中まで4安打2失点で、プロ2戦目で待望の初勝利。感慨もひとしおだった。

 「今まで見ている風景で落ち着いて投げられた。ここで勝てて本当にうれしい」

 初回に3点の援護をもらうと、テンポよく直球と変化球を投げ分け、強力なDeNA打線に的を絞らせなかった。5回までは低めへのチェンジアップを有効に使い、クリーンアップから4三振を奪うなど計6奪三振。敵将の中畑監督が「三振をしっかり取られた。初めての対戦では難しい」と嘆いたほど。6回2死からブランコ、バルディリスに連続本塁打を浴びて降板したが、堂々の投球だった。

 即戦力として期待されながらキャンプで左肘を負傷した。「落ち込むより、びっくりしました。ピッチャーを始めてから肩、肘を痛めたことはなかった。大学時代も先発で3連投にも耐えてきたので」。開幕してから広島・大瀬良を筆頭に他球団のルーキーが次々と白星を挙げた。厳しい現実に打ちひしがれそうになりながらも必死に前を向いた。「大学時代から知ってるみんなが活躍できているなら、自分も絶対に通用すると勝手に思い込んだ。正直、そう思わないとリハビリもやってられなかった」。だからこそようやくつかんだプロ1勝に「長かった」と実感を込め、「勝てたことで自信になる」と安どの表情を浮かべた。

 プロ初登板初先発となった10日の広島戦(京セラドーム)では4回4失点。勝てばチームが首位奪回の可能性があった一戦でほろ苦いデビューとなった。そして2度目の登板を前にした15日朝、岩貞は母校・横浜商大のグラウンドに一人立っていた。佐々木正雄監督や後輩たちの顔を見ると、自然と緊張はほぐれた。佐々木監督からは「球場は丸い土俵だと思え。土俵の中で動き回って踏ん張ればいい」と助言された。恩師のその言葉があったからこそ、力の限り腕を振れた。

 首位巨人に1・5ゲーム差と迫った。優勝争いの中で、チームは能見、メッセンジャー、藤浪、岩田に続く5人目以降の先発が固定できていない。和田監督は「この時期に出てきたのは非常に大きい。次も同じようなピッチングをしてくれたら、そういうところ(先発ローテーション)に入ってこられる」とうなずく。ルーキー左腕は「与えられた試合で全力でやっていく」。逆転Vへ、虎の救世主となるべく、岩貞の口調は熱かった。

 ≪セ新人8人目≫左腕の岩貞(神)がセでは今季8人目となる新人勝利。阪神では同じ左腕の岩崎がすでに3勝を挙げているが、チームで同一年に複数の新人が勝利を挙げるのは、10年の秋山(右腕)と藤原(左腕)以来。今季のように左腕2人となると、91年に湯舟が5勝、田村が3勝以来、23年ぶりとなった。

 ◆岩貞 祐太(いわさだ・ゆうた)1991年(平3)9月5日、熊本県生まれの22歳。小4で野球を始め、東野中学でも軟式野球。必由館では1年秋からベンチ入りも甲子園出場はなし。横浜商大では2年夏に日米大学野球に出場。2年春と4年秋に最優秀投手賞を獲得するなど神奈川大学野球リーグ戦通算25勝。13年ドラフト1位で阪神に入団。背番号17。1メートル82、78キロ。左投げ左打ち。家族は母・多恵子さん、弟・拓実さん。

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