進化した“沖縄のライアン”尚学・山城 今大会最多14K完投

[ 2014年8月18日 05:30 ]

<沖縄尚学・作新学園>14奪三振の好投を見せた沖縄尚学・山城

第96回全国高校野球選手権2回戦 沖縄尚学3―1作新学院

(8月17日 甲子園)
 進化した「沖縄のライアン」が甲子園に帰ってきた。4季連続出場となった沖縄尚学の山城大智投手(3年)が初戦の2回戦、作新学院(栃木)戦に先発。今大会最多の14三振を奪う快投を見せ、3安打1失点で完投勝利を挙げた。今春のセンバツではベスト8止まりだったが、成長した姿を披露。春は2度の全国制覇を誇る同校を、初めての夏の頂点へと導く。

 いつものように左足を肩の高さまで上げ、勢いよく踏み込んだ。大リーグの名投手、ノーラン・ライアンをほうふつさせるダイナミックなフォーム。山城は127球を投げても、フォームを崩すことはなかった。

 「春に悔しい負け方をしたので、この夏は成長した姿を見せたかった」

 初回、3番の朝山に高めの直球をバックスクリーン右に運ばれ、気合が入った。圧巻は2―1の6回2死二塁。同点のピンチで朝山を迎えた。「打たれたままでは終われない。真っすぐでやり返す」。139キロ直球を内角に厳しく投げ込み、見逃し三振を奪った。7回も4番・田中から全て三振を奪い、4者連続だ。伸びのある直球は最速143キロを計測し、8回以外は毎回の14奪三振。今大会最多三振を奪い、さらに無四球と抜群の制球力を見せつけ「三振を多く取ることが(春からの)成長」と胸を張った。

 進化した「沖縄のライアン」。その背景には投球術の向上や技術面の充実があった。8強に終わった今春のセンバツまでは「ただがむしゃらに投げていた」状態だったが、打者の対応を見ながら投球することを覚えた。「(作新学院は)真っすぐを狙ってきたので意図的にボールにしたり、直球と同じ軌道でツーシームを投げた」。沖縄大会から本格的に使うツーシームを多投し、スライダーやカーブも交えて幻惑。決め球の引き出しも多く、3三振の作新学院の中村主将を「チーム全体で真っすぐ狙いだったが、変化球主体で対応できなかった」と嘆かせた。

 豪快なフォームは真夏の甲子園に耐えられるか。センバツ後、比嘉公也監督は「連投になるとスタミナが心配」と気にしたが、山城は「相手打者に威圧感を与えられる。これが自分のフォーム」とこだわり続けた。ブルペンでは連日200球を投げ込み、新球ツーシームも磨き、自身3季連続出場の甲子園で成長した姿を見せつけた。

 沖縄尚学は甲子園春夏通算20勝に到達した。だが、2度の優勝があるセンバツとは対照的に夏は過去6度、1勝止まり。2勝したこともない。ただ「最終目標は全国制覇」と言い切る山城にとって次に狙う初の夏2勝は通過点。「この夏の主役になりたい思いでマウンドに上がっている」と頂点を見据えた。 

 ◆山城 大智 (やましろ・だいち)1996年(平8)9月26日、沖縄県今帰仁村生まれの17歳。小1から北山キングで野球を始める。今帰仁中では軟式野球部に所属し、全国3位。沖縄尚学では1年秋からベンチ入り。2年秋からエースとなり明治神宮大会で沖縄県勢初優勝に貢献。今春センバツではベスト8。趣味は映画観賞、好きな言葉は「一生懸命」。1メートル76、75キロ。右投げ右打ち。

 ▼ロッテ・伊志嶺(06年度卒)テレビで試合を見ていました。山城は制球が安定していましたね。目の前の試合に集中して、勝ち上がっていってほしい。

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