森 46年ぶり3戦連発の秘訣 武器はスイングスピードと強いリスト

[ 2014年8月17日 05:30 ]

<西・日>延長10回1死、バックスクリーンに同点ソロを放ち、森本(右)に抱きかかえられる森

パ・リーグ 西武8-8日本ハム

(8月16日 西武D)
 末恐ろしいルーキーだ!西武のドラフト1位・森友哉捕手(19)が16日の日本ハム戦で1点を追う延長10回に代打で同点3号ソロをバックスクリーンに突き刺した。14日の日本ハム戦(西武ドーム)から3試合連続本塁打。高卒新人のプロ1号からとなると、68年の中日・江島巧以来、46年ぶり史上2人目の快挙となった。今季両リーグ最長5時間48分の激闘の末、延長12回引き分けに終わったが新たな「強打の捕手」誕生を予感させた。

 3日連続の驚弾はバックスクリーンに飛び込んだ。1点を勝ち越された直後の延長10回1死。また、代打で打った。何という勝負強さ。3号同点ソロに、西武ドームはどよめきに包まれた。

 「真っすぐだけ張っていたので、来た球を振ろうと思った。興奮していて覚えてないです」

 日本ハム・増井が投じた151キロの速球。前日本塁打した球と同じ、見逃せばボールという高さだった。高卒新人のプロ1号から3試合連発は、68年の中日・江島巧以来、46年ぶり史上2人目だ。代打で放った14日のオリックス戦での初アーチは左翼席への流し打ち。DHで先発した前日は右中間へ引っ張り、そして今度は中堅に運んだ。

 1メートル70と小柄ながら新人離れしたスイングスピードと強いリストを持つからこそ、ギリギリまで待って振り抜ける。田辺監督代行も「あそこは彼にとってはストライクゾーン。打ち分けているよね。末恐ろしい」とまで言った。西武・清原和博や巨人・松井秀喜も成し遂げていない快挙に森は「光栄ですし、うれしい。継続させることが大切だと思います」と白い歯を見せた。

 どんな場面にも物おじしない強心臓は高校時代から大舞台で磨かれてきた。大阪桐蔭2年時には1学年上の藤浪(阪神)とのバッテリーで甲子園春夏連覇。18U日本代表として2年連続でIBAFワールドカップにも出場した。台湾で行われた昨年の同大会は雨で開幕が2日も順延となったが、チームメートがホテルのロビーで談笑しながら開始を待つ中、ソファにどかっと座りユニホーム姿で一人寝ている森の姿があった。

 これで代打では通算5打数4安打、打率8割で、全て長打。捕手としては経験が不足しているが、指揮官は今後「DH」での出場機会が増えることを示唆した。

 史上初の4戦連発がかかる17日の日本ハム戦。相手先発は161キロを誇る大谷だ。高校時代には12年のセンバツで対戦し3打数2安打と打っている。代打出場が濃厚な森だが「高校の時に対戦しているし、ジャパンでバッテリーも組んでいる。試合に出られたら打ちたい」と言った。

 前日はナイター後に寮に戻り、この日は午前6時半に起床して西武ドームで正午から行われた2軍戦(対東北学院大)にも出場した。球場を離れたのは午後11時半前。「ちょっと疲れました」と笑った森だが、その表情には充実感が漂っていた。

 ≪46年ぶり3人目≫高卒新人の森(西)が代打で3試合連続の3号本塁打。高卒新人の3試合連続本塁打は53年豊田(西鉄)が8月6日東急戦、同月8、9日毎日戦、68年江島(中)が6月4~5日広島戦でマークしたのに次ぎ46年ぶり3人目。1号から3試合続けたのは江島に次いで2人目だ。代打本塁打は14日1号に次ぎ2本目。今季の代打成績は二塁打、三振、二塁打、本塁打、本塁打。高卒新人で2本の代打本塁打は84年藤王(中)に次いで2人目だが、代打起用で2打席連続は森が初めて。なお、高卒に限らず新人の最多連続試合本塁打は58年森(中)、59年桑田(大洋)の4試合。

 ▽江島巧 1949年11月24日、和歌山県出身。右投げ右打ちの外野手。平安(現龍谷大平安)では主将で4番を打ち、甲子園に3度出場。最高成績は8強。67年ドラフト2位で中日に入団、1年目から71試合に出場し5本塁打。規定打席到達はなく、プロ16年間で1187試合に出場し、打率・223、473安打、56本塁打、211打点だった。

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