大阪桐蔭　わずか４安打も幸運突破！ミス乗じジワジワ加点

＜開星・大阪桐蔭＞暴投にボーク…相手の自滅に助けられ３年連続で初戦突破、喜ぶ福島（左から２人目）ら大阪桐蔭ナイン

第９６回全国高校野球選手権１回戦 大阪桐蔭７―６開星

（8月15日 甲子園）
　大阪桐蔭（大阪）は開星（島根）との１回戦で打線が４安打にとどまりながらも、相手のミスにも乗じて７―６で辛勝。５校目登場の近畿勢の今大会初勝利を挙げ、２回戦は明徳義塾と大会史上初の３年連続同一対戦となった。２回戦では二松学舎大付（東東京）が夏初出場初勝利を飾った。

　球児が燃える理由はいろいろある。大阪桐蔭・峯本はぎっしり埋まったスタンドにある人物を見つけたことが発奮材料になった。自分たちが陣取る三塁側ダッグアウト上。選抜王者で今夏初戦負けした龍谷大平安の河合主将の姿を確認していた。

　「負けたら自分たちも甲子園に見に来なあかん…と思った。何としても次のステージにいかなあかんと思った」

　開星の猛攻で初回に４点を失っていた。負けるかもしれないという現実に直面し、昨夏からスタメンの強打の２番の尻に火が付いた。３回無死一塁。ヒットエンドランのサインに応えた鋭い打球が三塁線を抜けた。「強い気持ちで思い切っていった」。チーム初安打の適時二塁打が生まれた。

　５回にボークで追いつき、６回に失策とボークで試合をひっくり返した後、福島が登板。こちらは峯本とは違う理由で燃えていた。試合３日前。エースとして西谷浩一監督に「先発させてください」と直訴したものの、認められなかった。「悔しい気持ちがあった」。右横手から腕を振り、スライダーを武器に４回を２安打１失点。９回２死一塁で最後の打者を右飛に打ち取ると、右拳を固く握りしめて喜んだ。

　史上初の開幕から２日順延を招いた台風１１号。これが、福島に追い風となっていた。大阪大会準決勝・履正社戦でライナーを右腕に受け、その後、右肘の張りに悩まされたからだ。「５日ぐらい投げられなかった」というだけでなく、数日、一日２０～３０球の球数制限が続いた。２日間の順延で、息を吹き返した。

　１０安打の相手に半分以下の４安打で勝ち、初戦敗退が続いていた近畿勢の連敗を４で止めた。とはいえ、四球、失策、暴投などで得点の大半を得たとあって西谷監督は喜んでいない。「勝因は意地というか、みんなが粘り抜いたことだと思う。きょうのような試合をしていたらとうてい勝てない」。次は好投手・岸を擁する明徳義塾と３年連続で対戦。真価が問われる戦いになる。