マー君 右肘故障後“初投げ”英語で喜び第一声「GOOD」

[ 2014年8月6日 05:30 ]

試合前、ベンチで笑顔を見せるヤンキース・田中

 マー君が投げた。右肘のじん帯部分断裂で先月9日に故障者リスト(DL)入りしたヤンキースの田中将大投手(25)が4日(日本時間5日)、本拠地ヤンキースタジアムで故障後初めてキャッチボールを行った。距離は約5メートルから始まり、最長20メートルで計50球。第一声を英語で表現するなど、27日ぶりに白球の感触を楽んだ。投球後も患部に不安はなく、今後は距離を伸ばして強度を上げていく予定。早ければ今月下旬にもとされるメジャー復帰へ、大きな「初めの一歩」を刻んだ。

 田中はボールが投げられる喜びをかみしめていた。「投げる前はわくわくしていましたし、久しぶりにボールを投げられた。いい時間が過ごせたと思います」。たかがキャッチボール、されど大きな一歩。スタンドは無人のヤンキースタジアムで、野球少年のような笑顔を浮かべていた。

 紺のTシャツ、短パン姿。ラリー・ロスチャイルド投手コーチを受け手に、約5メートルの距離から開始した。次第に距離を伸ばし最長20メートルでは25球、トータルで50球。田中は「一つステップアップができたということで、ほっとしている。第一歩かなと思う」と明るく振り返った。米メディアには通訳を介さず、「good」と切り出した。本人によれば、強度は「イージーにやれと言われていたので、登板翌日くらいの軽いもの」。投球後も患部に不安はなく、ポール間走などのランニングメニューを続けてこなし、気持ち良さそうに汗を拭った。

 7月8日のインディアンス戦後に右肘の痛みを訴え、じん帯の部分断裂と診断された。3人の専門医の所見は手術の必要なしで、保存療法を選択。同14日には患部にPRP(多血小板血しょう)療法の注射を受け、ここまで約3週間はノースローで回復を待った。

 見守ったジョー・ジラルディ監督は「明るい日だ」と喜びを表現。その上で「復帰への道のりはまだ長い。やるべきこともある」と慎重な姿勢を示した。5日(日本時間6日)以降もキャッチボールは継続され、段階を踏みながら距離、強度を上げていく。順調なら、10日(同11日)前後にブルペンでの投球練習を再開。打撃投手などで調整し、マイナーでのリハビリ登板も2、3試合は必要だ。メジャー復帰は早ければ今月下旬から9月上旬となる見通し。ただ、過程で狂いが生じれば、全治1年~1年半のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を強いられる可能性も浮上する。

 一日でも早い復帰を焦る気持ちと、万全を配した慎重さと。困難な事態に直面する田中本人も「僕も混同している」と漏らした。そして自らに言い聞かせるように続けた。「繰り返しても仕方ない。中途半端に戻って迷惑を掛けて、またさらに離脱という形が最悪だと思う」。まずは完治させ、最高の状態であのマウンドへ帰る。この日の喜びが、その気持ちを一層強くさせた。

 【田中のケガの経過】

 ◆7月8日 インディアンス戦に先発し、6回2/3を10安打5失点で4敗目。降板後に右肘痛を訴えた。翌9日にDL入り。

 ◆10日 シアトルでチームドクターの診察を受け「右肘内側側副じん帯の部分断裂」と診断された。専門医3人は手術の必要はなく、6週間のリハビリが必要と所見。

 ◆14日 右肘にPRP(多血小板血しょう)療法の注射を受けた。自身の血液を採取し、血小板を増やす培養を施したものを患部に注射。3週間はノースローとなる。

 ◆8月1日 ニューヨークでチームドクターの再診を受け、患部の経過が良好なことを確認。

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