マエケン 9回投げ切ったけど…5年連続2桁勝利またお預け

[ 2014年8月2日 05:30 ]

<巨・広>2回、自軍の失策に顔をしかめる前田健

セ・リーグ 広島2―2巨人

(8月1日 東京D)
 エースでまた勝てなかった。広島は1日の巨人戦(東京ドーム)で延長12回を戦い、今季2度目の引き分け。前田健太投手(26)が9回を7安打2失点(自責1)と力投したが、幾度となくあった好機で打線に1本が出ず、5年連続の2桁10勝は再び持ち越した。守護神・ミコライオが腰の張りで登板回避する緊急事態。延長10回からの3イニングは一岡―中崎―中田が零封リレーで締めた。

 野村監督の試合後のコメント「勝てなかった。勝ち越せなかった…」が試合のすべてを象徴していた。前田健を立てたカード初戦。勝ち越しの好機は何度もあっただけに悔しさが募る。エースはあえてチームの勝敗には触れず、自身の投球を淡々と振り返った。

 「きょうは最後まで行こうと思っていた。球数もうまく配分できた。直球が走っていたし、併殺も欲しいところで取れ、よかったと思います」

 仕事を果たした安ど感がにじむ。1―0の3回に味方の失策が絡んで同点に追いつかれ、5回には村田に通算300号となる勝ち越し弾をバックスクリーンへ運ばれた。「あそこまで飛ばされたら仕方がない」。5回まで毎回の6安打。要所を締める粘投でしのいだ。

 6回からは、しかし、ギアをチェンジする。8回までの3イニングを3者凡退に仕留め、3者連続三振に斬った7回、村田への3球目に最速150キロを計測した。ハイライトは無死二塁の9回だ。長野を147キロ外角直球で空振り三振に斬ると、阿部敬遠後、ロペスは内角低めシュートでこの日3個目の併殺に仕留めた。

 「長野さんにバントの気配がなかったので、三振を狙った。ロペスのゲッツーもよかった」

 だからと言って、満足感に浸っているわけじゃない。7月25日から週末5週に渡って交互に組まれた阪神、巨人との3連戦。野村監督は巻き返しを図るべく、カードの初戦に右腕をぶつけるローテーションを組んだ。ところが、25日の阪神戦は2点差を7回に追いつかれる背信。チームも逆転負けを喫し、この1戦に汚名返上を懸けていた。

 「巨人、阪神は後半に(優勝を)かけて戦う相手。苦手意識を持ちたくないし、終盤、相手にイヤだなと思わせる投球がしたい」。戦前の抱負こそ有言実行したものの、5年連続の2桁10勝を逃し、チームの勝利にも結びつかないとあれば、必勝を義務づけられるエースには満足できない。

 「マエケンは9回まで粘って本当によく投げてくれた」と野村監督。次回8日の阪神戦(京セラドーム)でこそ、チームを勢いづかせる勝利に期待だ。 

 ▼広島・野村監督(再三の勝ち越し機を生かせず引き分け)チャンスはたくさんあったんだけど…。投手陣がよく粘ってくれた。

 ▼広島・田中(6回に同点犠飛も、延長12回の好機で併殺打)0点。まだまだです。

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