ダルWメモリアル デビューから3年連続10勝&日本人700勝目

[ 2014年7月30日 05:30 ]

<レンジャース・ヤンキース>7回2死、二、三塁のピンチにブライアン・マッキャンを空振り三振に仕留め、マウンド上で雄叫びを上げるダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ4―2ヤンキース

(7月28日 アーリントン)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)が28日(日本時間29日)、ヤンキース戦で7回を9安打2失点に封じ10勝目を挙げた。日本選手のデビュー年から3年連続2桁勝利は95~97年の野茂英雄(ドジャース)以来で2人目。またカブスの和田毅投手(33)はロッキーズ戦で7回1失点と好投し渡米3年目でメジャー初勝利。この日の2勝により日本選手通算700勝に到達。和田に9分遅れて白星を手にしたダルビッシュがダブルの節目を飾った。

 極限まで集中力を高めた。4―2の7回2死二、三塁で迎えたのは3番マキャン。一打出れば同点とされるピンチで、ダルビッシュは91マイル(約147キロ)のカットボールで空振り三振に仕留めた。ベンチに戻る際には珍しく何度も吠えた。

 「こういうチーム状況で、ヤンキース相手に勝てたので、そういう意味で凄くうれしい」

 7回を投げ、失点は1番ガードナーに浴びた2打席連続本塁打による2点だけ。味方打線が5回に4点を奪って逆転した場面では、ベンチで大興奮して手を叩いた。デビューからの3年連続2桁勝利は球団史上初。日本選手では、パイオニアの野茂しか成し遂げていない快挙だ。「あまり10勝がどうとか(特別な気持ちは)ない」と言い切ったが、最高峰のレベルで安定した成績を残すことができる理由の一つが、この日の投球の組み立てにもあった。

 「飛び抜けていい球はなかったけど、所々でスライダーがいい変化をしたり、カーブが良かった」と振り返った。前回23日の敵地でのヤンキース戦は1―2の5回途中で降雨コールドゲームとなり、6敗目を喫した。その時は直球系が多かったが、この試合はカーブを多投。特に今年から増やしている100キロ前後のスローカーブを実に9球も投じ、ヤ軍打線を幻惑した。多彩な変化球だけでなく、軸になる球によってフォームも使い分ける器用さもある。

 もう一つが故障を最小限に抑える体のケア。松坂(現メッツ)は2年連続で2桁勝利を挙げた後、3年目に故障に見舞われた。ダルビッシュも昨季終盤に腰を痛めたが、「ケガのリスクをどれだけ抑えるか、ケアのやり方は個人個人が持っていないといけない」と話す。体の仕組みやトレーニング、栄養の摂取法などを独学で研究。常に取捨選択を繰り返し、ルーティンも変える。

 ダルビッシュは球宴前日の会見でこう話した。「野茂さんの時とは時代がちょっと変わっている。1回(流れが)切れているので、今また新たに自分たちがつくらなければならない状況」。95年の野茂のデビューから20年目。日本の投手がサイ・ヤング賞の有力候補に挙げられる時代になった。両リーグ最低勝率にあえぐレンジャーズにあっても、変わらずサムライ投手たちのけん引役。ダルビッシュの進化は止まらない。

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2014年7月30日のニュース