富士重工4強!猿川零封 花巻東で同学年雄星&後輩大谷が刺激

[ 2014年7月28日 05:30 ]

<富士重工・日本新薬>7回2死二塁、岡を一ゴロに打ち取り吠える富士重工・猿川

都市対抗野球第10日・準々決勝 富士重工2―0日本新薬

(7月27日 東京ドーム)
 準々決勝3試合が行われ、4強が出そろった。富士重工(太田市)は日立製作所からの補強選手で花巻東時代に西武・菊池雄星の同期生だった猿川拓朗投手(22)が7回2/3を無失点に抑え、日本新薬(京都市)に2―0で快勝。6年ぶりに準決勝へ駒を進めた。NTT東日本(東京都)も補強3選手の活躍で大阪ガス(大阪市)を撃破。西濃運輸(大垣市)は同点の8回に一挙6点を奪い、東京ガス(東京都)に逆転勝ちした。28日は準決勝2試合が行われる。

 都市対抗は初登板初先発でも、大舞台は慣れっこだ。8回1死一塁。富士重工の先発・猿川は142キロの直球で空振り三振を奪うと小さくガッツポーズした。ここで、右手中指にできたマメの影響で降板。完封は逃したが7回2/3を3安打無失点と堂々たる内容だった。

 「空振りとファウルを取りたいところで取れた。連戦だし、中継ぎを休ませたくて完投しなきゃと思っていたけど、きょうは十分だと思います」

 直球は自己最速にあと1キロと迫る147キロを計測。得意のスライダー、スプリットの切れも良く2回無死からの4者連続を含む9三振を奪った。今春入社した日立製作所からの補強選手として臨んだ舞台。チームを6年ぶり4強へと導いた。

 花巻東では高校通算42本塁打。「4番・三塁」として同学年のエース菊池(西武)とともに09年センバツ準優勝、夏は4強入り。甲子園でも3試合に登板した。センバツでは南陽工との準々決勝で岩本(阪神)からバックスクリーンに特大弾を放ち、投手としても先発して最速145キロを計測。投打で注目を集めた。

 「投げる方が好き」と東海大では本格的に投手転向。3年春にはリーグ戦MVPを受賞、全日本大学選手権では東日本国際大との2回戦で東京ドームのマウンドを踏み、1失点完投した。2学年上の菅野(巨人)からカットボールの握りを教わり、花巻東の後輩・大谷(日本ハム)に伝授したこともある。そのことが昨年、スポニチ紙面に載り「大きな記事になってびっくりした」と笑う。そのカットボールを改良したスライダーは、この日もさえていた。

 菊池や大谷の活躍は刺激になっている。「僕も負けられない。でも野手はもう無理です」。大谷のような二刀流はできなくても、初の頂点へ連投も辞さない覚悟だ。

 ▼富士重工・水久保国一監督 猿川に尽きる。丁寧に低めを突いていた。できれば完封させたかったけど、チームの勝利が最優先なので代えた。

 ◆猿川 拓朗(さるかわ・たくろう)1992年(平4)3月5日、岩手県盛岡市生まれの22歳。小3から野球を始める。花巻東では内野手として1年秋からベンチ入り。2年夏から4番。3年センバツ準優勝、夏の甲子園4強で、投手としても計3試合に登板。東海大で本格的に投手に転向。3年春に5勝を挙げてMVPを受賞するなどリーグ通算15勝を挙げた。今春、日立製作所に入社。家族は両親と弟2人。1メートル83、85キロ。右投げ左打ち。

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