イチロー 最遅102戦目1号「イッテー!、そこはカタカナですから」

[ 2014年7月27日 05:30 ]

<ヤンキース・ブルージェイズ>3回、今季1号を放ったイチロー(中央)はナインに迎えられる

ア・リーグ ヤンキース6―4ブルージェイズ

(7月25日 ニューヨーク)
 ゼロでなくて良かった――。ヤンキースのイチロー外野手(40)は25日(日本時間26日)、ブルージェイズ戦に「7番・右翼」で出場。1点を追う3回に右越えへ今季初本塁打となる逆転3ランを放ち、チームを4連勝に導いた。メジャー移籍後、14年連続本塁打となり、後半戦に入ってからのシーズン1号は14年目で最も遅かった。イチローの援護弾で、5回2/3を4失点だった黒田博樹投手(39)は7勝目を挙げた。

 ベンチに凱旋する際、イチローはジーターから最前列で出迎えられ、なぜか、上目遣いでにらみつけられた。だが、目の前まで行くと、破顔一笑され、グータッチ。今季1号、しかも値千金の逆転3ランに対し、1学年下だが、今は同じ40歳の盟友から「ツンデレ」の祝福を受け、2人だけの特別な時間を満喫した。

 「いやー、ゼロでなくて良かった」。そう喜び「ジーターはそういう演出が上手ですからね。分かってやっている。楽しいですよ」と笑った。3回、1点差に迫り、なおも1死一、二塁。左腕バーリーのスライダーが真ん中高めに入った。十分に引きつけ一気に細身の体を回転。右翼席最前列に飛び込む待望の一発を「イッテー!そこはカタカナですから」と独特の言い回しで表現した。

 本塁打ゼロでは終われない理由があった。試合前の打撃練習。ジーターから、いつもスラングでからかわれていた。「can’t leave」。意味は「本塁打が打てないヤツ」である。今季限りで引退するジーターの2本に対し、自身は0本。「もちろん、その事実は知っていた」。しかし、こう続けた。「日本人にはtの発音があるのかないのか分からない。だから僕にはcan leave」。イチローは「t」に耳をふさぎ、「本塁打を打てるヤツ」と勝手に解釈し、ついに打った。昨年8月30日オリオールズ戦以来、329日ぶり。チーム102試合目、自身245打席目、メジャー14年目で最も遅く、今季日本人選手の初本塁打ともなった。

 バーリーはここまで通算57打数24安打、打率・421と得意にしているベテラン左腕。対戦は昨年5月以来で「いつものように駆け引きがあった。ただ、振っているだけでは思い通りにやられてしまう投手ですから」。後半戦はここまで21打数2安打、打率・095。お得意さま相手に復調のきっかけをつくった。

 チームはいずれも逆転勝ちで4連勝。イチローは「最終的に勝つチームにはいろんな勝ち方が必要なので、それはいいこと」と静かに言った。同地区首位のオリオールズに3ゲーム差の2位で残り60試合。「きょうはこの形でハッピーですけど、この先もタフなゲームが続いていく。この瞬間はこの瞬間でしかない」。40歳はこの活躍を続けなければ、意味がないことをよく知っている。

 ≪王らに並んだ22年連続弾≫イチローが今季初本塁打で01年のメジャー移籍後、14年連続本塁打となった。日米通算となるとオリックス入団2年目の93年から22年連続本塁打。日本での谷繁(中日)の26年連続、野村(西武)の25年連続、張本(ロッテ)、門田(ダイエー)の23年連続に次ぎ、王(巨人)らの22年連続に並んだ。

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