代走・鈴木でかくRUN 脇役光って原巨人甲子園3連敗免れた

[ 2014年7月24日 05:30 ]

<神・巨>9回表2死満塁、勝ち越しの生還を果たし、笑顔でナインとハイタッチをかわす鈴木尚(左)

セ・リーグ 巨人3-2阪神

(7月23日 甲子園)
 こんな勝ち方もできるから首位を守れる。巨人は23日、阪神戦の同点で迎えた9回に先頭の亀井善行外野手(31)が右前打で出塁。代走のスペシャリスト、鈴木尚広外野手(36)の二盗など2盗塁で、相手をかく乱し、最後は2死満塁から暴投で決勝点を挙げた。敵地での伝統の一戦で3連戦3連敗を阻止し、眼下の敵・阪神を再び2・5ゲーム差に引き離した。

 泥臭い勝ち方だった。それでも、原監督は試合後、平然と口を開いた。

 「いつものこと。あの手、この手、その手でもね。今年はこういうゲームで勝つつもりでいますから。想定内ですよ」

 2―2の9回。先頭の亀井が右前打で出塁。迷わず、指揮官は「カード」を切った。代走・鈴木。「勝負イニングになると思った。最高の走者を送った」。先発の能見は今季4度しか盗塁企図されていない。巧みなけん制で走者のスタートのタイミングをずらすことにたける左腕に対しての勝負手だった。

 長野が凡退して1死となり、村田の3球目に二盗に成功。タイミングはアウトに見えたが、上本のタッチを吹っ飛ばすように、トップスピードに乗ったままのスライディングでセーフにした。恐怖心から野手のタッチは甘くなる。「スライディング技術で勝りましたね」と鈴木。続く村田の4球目、捕手の梅野がフォークボールを三塁側へはじくと同時にスタートを切り三塁へ。「はじいた球で一発で三塁に行って相手にプレッシャーをかけられた」と胸を張った。

 打線全体で絞り出した決勝点でもあった。能見には、巨人打線が「早打ち」に来ているとの読みがあった。実際、この日対した延べ36人の打者のうち、第1ストライクを打ちにきた打者は21人に上っていた。だからこそ、中盤以降は初球から決め球のフォークを多投していた。その球に苦しめられ、4~8回はわずか1安打。9回の亀井が低めのボール球を振ることを「我慢して。内角のストライクを狙った」と言うように内角低めのフォークを右前打。さらに村田、ロペスともにフォークを見極めながら四球を選び、最後も2死満塁から代打矢野がフォークで暴投を誘った。

 坂本、長野、村田、阿部の「枢軸」が無安打でも勝った。9回の決勝点も亀井の1本の安打だけで生まれた。原監督の決意は以前から固まっている。5月31日のオリックス戦(京セラドーム)。金子に9回までノーヒットノーランされながら勝った。「ノーヒットでも勝ってやろうと思ってたよ」。ポイントゲッターが機能しなくても勝つ手段を考える。オーダーはこの日で60通り目となった。

 原監督は最後に「こういう状態で戦うという気持ちで私はいます」と言った後、「この言葉を選手たちがどう受け止め、どう発奮してくるか、期待しているところでもある」と付け加えた。

 打線の主軸に好転の兆しが見えるまで苦戦は続く。ベンチ全員の総力で戦い続けるしかない。

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2014年7月24日のニュース