梅ちゃん 田淵に見えたV打 「打てる捕手」継承

[ 2014年7月22日 05:30 ]

<神・巨>2回無死満塁、梅野が左前に2点先制適時打を放つ

セ・リーグ 阪神3-0巨人

(7月21日 甲子園)
 プロ野球は21日、オールスター戦が明けての後半戦が始まった。セ・リーグ2位の阪神は首位・巨人と対戦。ドラフト4位の梅野隆太郎捕手(23)が2回無死満塁から左前に決勝の2点適時打を放った。マスクをかぶっても完封リレーを演出。3連勝に導き、巨人とのゲーム差を2・5に縮めた。伝統の一戦で阪神OBの江夏豊氏(66)と田淵幸一氏(67=スポニチ本紙評論家)の始球式が行われ、田淵氏の系譜を受け継ぐ「打てる捕手」、梅野がバットで魅せた。
【試合結果】

 偉大なレジェンドを前に、梅野の心は燃えていた。自身が快音を響かせるたびに、比較で名前が出てくる「田淵幸一」。その大先輩が江夏豊氏との黄金バッテリーで始球式を行ってから間もない2回無死満塁だった。沢村のシュートを叩き、三遊間を真っ二つに破った。絶好の先制機で2人の走者を還した。プロ入り初の先制打だった。

 「三振や内野フライでは得点にならないし、後ろの打順が投手ということもあったので、自分で走者を還せる打撃をしようと思った。積極的に振っていった」

 マスクをかぶっても、先発・岩田を好リードした。4回2死一、二塁、阿部を迎えたピンチでは岩田に初球、内角のシュートを要求し、1球で一ゴロに仕留めた。「初球から振ってくると思った。勝負どころで内角に投げてくれて詰まらせられた」。右から左へ吹く浜風は普段よりも強く、味方になると踏んだ。5回2死一、三塁でも片岡に外角シュートを2球続けて右飛に仕留め「きょうは風に助けられた」としてやったりだ。和田監督も岩田と梅野を、江夏氏と田淵氏の黄金バッテリーとダブらせ「バッテリーの勝利」とうなった。

 始球式直後だった。梅野は田淵氏に花束を贈呈した際、こう言われた。「いつかは22を背負えるように頑張れよ」。22とは田淵氏が現役時代につけた栄光の背番号。「今はヒョンさん(呉昇桓(オ・スンファン))がつけているので、田淵さんに近づいていけるような捕手を目指したい」と誓った。1日ヤクルト戦(倉敷)では、その田淵氏以来、新人捕手としては球団45年ぶりとなる2打席連続本塁打。「打てる捕手」の系譜を受け継ぐ23歳に田淵氏も「俺と45歳くらい違うのかな。打てて守れて、本塁打も打てる捕手が誕生したね」と目を細めた。

 7月に先発マスクをかぶった13試合は12勝1敗、勝率・923。さらに今季の巨人戦で先発マスクをかぶれば3戦3勝だ。捕手ながら「Gキラー」の名をほしいままにする若き扇の要が躍動し、今季最多4万6803人の観衆を集めた甲子園での伝統の一戦で、巨人に2・5ゲーム差に詰め寄った。「あと2試合、巨人戦が残っているので、何とか勝ち越して差を縮めていきたい」と梅野。田淵氏のような伝説の捕手になるべく、また一つ経験値をアップさせた。

 ≪虎新人の巨人戦勝利打点は13年ぶり≫ルーキーの梅野(神)が2回に決勝の2点適時打。阪神の新人が巨人戦で勝利打点を挙げたのは、01年6月20日(甲子園)に赤星がサヨナラ打して以来13年ぶりになる。梅野が先発マスクをかぶったのは31試合目で、チームはその試合に19勝11敗1分けの勝率・633。7月に入ってからは4完封を含め12勝1敗、勝率・923と好リードが光る。

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