藤浪 プロ初完投!“あと1球”コールは「ちょっと特別」

[ 2014年7月16日 05:30 ]

<中・神>9回1死、高橋周の打球を腹でガッチリ受け止めた藤浪

セ・リーグ 阪神8―1中日

(7月15日 ナゴヤD)
 この日が来るのを、みんなが待ってたで! 15日の中日戦(ナゴヤドーム)に先発した阪神・藤浪晋太郎投手(20)が5安打1失点の力投でプロ初完投を飾り、チームトップタイの7勝目を挙げた。チームの対中日の連敗も5でストップし、球宴前の前半戦ラスト登板を最高の形で締めくくった。7月に入ってから3連勝と、今年も「夏男」は健在。藤浪君、後半戦も頼んまっせ~。

 自己最多143球目。阪神・藤浪はカットボールで武山からこの日13個目の三振を奪い、自身の前半戦を締めくくるとともに、チームの2位での折り返しを確定させた。やっと一つの壁を乗り越えた。プロ初登板から39試合目、先発38試合目で飾ったプロ初完投に、達成感をにじませた。 

 「素直にうれしい。“あと1人”コール、“あと1球”コールは、ちょっと特別なものがありました」

 初回、いずれも直球での3者連続三振で波に乗った。150キロ台の真っすぐは威力十分。詰まらされた中日打線がその直球を狙えば、スライダーで手玉に取った。

 これまではあと一歩のところで降板してきた。完投ペースから8回途中5失点で降板した9日の広島戦(甲子園)後、中西投手コーチから「こんなんじゃ絶対におまえは完投できない」と?責(しっせき)された。それから中5日。前回登板で胸付近まで上げていた左足を、この日からは再びベルト付近の高さにとどめて「ため」をつくった。左足の踏み込みが強化され、直球の球威がアップ。リリースポイント、軌道も落ち着いた。磨き直された直球が、初完投の原動力となった。

 完投するためには「スピードだけじゃごまかせない。技術もコントロールも変化球の精度も必要」という。この日は味方の失策で1点を失った後の7回や8回のピンチでも落ち着いて後続を断つなど最後まで質の高い投球術を維持。「リリースが安定していた。前で打者との距離を詰めて投げられた」と胸を張った。

 昨オフ、背筋、内転筋など徹底して体幹強化に励んだ。体重は約5キロ増で90キロを突破。体幹強化に伴い、腕の振りも縦振りに。「軽く投げても球が行く。腕が体の軸に絡んでいる」。完投に耐え得る体を作り上げ2年目に臨んだが、ここまで遠かった。

 和田監督は「完封に限りなく近い完投」と称えた。また一つ階段を上った20歳が、この日逃した完封を成し遂げる日もそう遠くはないだろう。昨季は7、8月で6勝の「夏男」は、今年も7月に入り3連勝。藤浪の季節が、やって来た。

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