元パナソニック監督 夏1勝!「3年以内に全国制覇」へ第1歩

[ 2014年7月12日 05:30 ]

<秀岳館・真和>ベンチからナインに指示を出す秀岳館・鍛治舎監督

熊本大会2回戦 秀岳館11―0真和

(7月11日 藤崎台県営)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は11日、18大会で109試合が行われた。熊本大会では、元松下電器(現パナソニック)監督で、NHKの高校野球解説者としても知られた鍛治舎(かじしゃ)巧監督(63)が今春から指揮を執る秀岳館が、真和を11―0の5回コールドゲームで下して初戦を突破した。12日は神奈川、愛知、大阪などで開幕し、42大会348試合が行われる。

 「3年以内に全国制覇」――。その公約に向け、鍛治舎監督が第一歩を踏み出した。

 「甲子園でも(校歌を)聞けるといいですね。人生が変わるような夏にしてあげたい」

 8安打11得点と打線が爆発。3安打2打点の松尾、5回に代打3ランの九鬼はともに1年生で鍛治舎監督が昨年まで指導していた大阪の「オール枚方ボーイズ」で全国優勝したメンバー。正遊撃手の松尾は「緊張したけど思い切ってプレーした」と声を弾ませた。

 今年4月の就任後、指揮官は学校関係者に自らの考えを詰め込んだ133ページに及ぶ冊子を配った。そして、選手に対してはこれまで4時間だった練習を6時間にし、早朝練習に加え座学。施設面でも打撃マシンを2台から9台へと大幅に増やし、打ち込ませた。だが、1週間と持たずに、この日3回に左越え満塁本塁打を放った4番の藤吉主将が「ついていけません」と訴えてきた。これを機に、生徒と目線を合わせ、「今では部員のガールフレンドの名前も覚えました」と笑う。

 信頼関係が築かれれば、技術面も変わる。選手は2ストライク後はバットを一握り余して持って目線がぶれないようノーステップで打つ。鍛治舎監督が日本代表コーチ時代に元ヤクルト監督の古田敦也氏らにも教えた指導法で三振は0。確実性が上がった打線がチームの強さを支えている。

 NHKの解説者として1000試合以上の高校野球を見た。球児の夏は一度の敗戦で終わる。「その哀愁とロマンにひかれた」と、パナソニックの専務役員から異例の転身。63歳の高校野球新人監督と部員141人の思いはひとつ。13年ぶりの聖地を目指す。

 ◆鍛治舎 巧(かじしゃ・たくみ)1951年(昭26)5月2日、岐阜県生まれの63歳。県岐阜商3年時の69年センバツ準々決勝・比叡山戦で大会通算100号となる本塁打。早大では5季連続で打率3割を達成し、日米大学選手権では日本代表の4番を務めた。松下電器(現パナソニック)入社後、2年目の75年ドラフトで阪神から2位指名を受けたが拒否。81年に引退。87年から91年まで同野球部監督。89年から91年まで日本代表コーチも兼任した。NHKの解説は85~92年、98~10年に務めた。

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