大谷、最年少16K 20歳初登板で自己最多&江夏超え

[ 2014年7月10日 05:30 ]

<楽・日>9回2死、ボウカーを三振に仕留め16奪三振完投勝利の大谷

パ・リーグ 日本ハム2-1楽天

(7月9日 コボスタ宮城)
 二刀流が江夏を超えた。日本ハム・大谷翔平投手(20)が9日、楽天戦に先発し、1失点完投で6連勝となる8勝目を挙げた。毎回で自己新の16三振を奪い、1958年の土橋正幸、80年の木田勇に並ぶ球団記録を達成。最速159キロの直球主体に6者連続三振を奪うなど、自身初の2試合連続2桁奪三振もマークした。5日に20歳の誕生日を迎えたばかりで、16奪三振以上は68年江夏豊(阪神)の20歳2カ月を更新する最年少記録。二刀流の怪物はどこまでも成長を続ける。

 ピンチになればなるほど燃える。大谷のギアが一段上がった。1―1で迎えた5回1死二塁。6打席連続安打中の松井稼を迎えた。それまで2安打された相手だった。

 「あそこで気持ちが入った。打たせちゃいけないと思った」。変化球で追い込み、この日最速の159キロ、158キロ。フォークを1球挟み、最後は内角への158キロでバットに空を斬らせた。

 気持ちのスイッチを入れてピンチを切り抜ける姿は、まるで田中(現ヤンキース)だ。松井稼からは6者連続三振。ギアは緩めることなく150キロ台後半の直球を連発し、5回1死から走者を一人も許さなかった。栗山監督も「翔平は怖い打者(松井稼)ほど状態が整う。あそこから一気にいってくれた。褒めたくはないけど良かった」とうなった。ピンチで力が入ってもフォームを崩さず、最高の球を投げる。田中の本拠地だったコボスタ宮城での快投。今やメジャーを代表する右腕と大谷の熱投がダブった。

 5球で先制された初回は直球を狙われていると察知し、フォークを織り交ぜる投球に修正。雨で17分間中断しても乱れない。113球中、ボールはわずか25球。ストライク率は驚異の78%だ。9回、最後の打者ボウカーを空振り三振に仕留めた113球目はこの日最速タイの159キロ。プロ2度目の完投でチームトップの8勝目に「最後は気持ちで抑えたいと。1点差のゲームで勝てたのがうれしい」と笑った。 

 20歳になって初めての勝利だ。6月25日DeNA戦(横浜)に先発する2日前の休日。花巻東野球部の同級生3人と久しぶりに集まり、都内の焼き肉店で盛り上がった。同級生たちはそこでサプライズケーキとバースデーソングをプレゼント。大谷の20歳の誕生日は今月5日で少し早めの祝福だったが、照れくさそうに喜んだという。つかの間の休日を旧友たちと過ごし、英気を養った。

 「19歳で最後(2日の西武戦)は勝てなかったので、20歳はいいスタートが切りたいと思っていたので良かった」。5日はバースデーアーチを2本放ち、この日は球団タイ記録で、自己最多の毎回16奪三振だ。投打に主役の20歳は「次のカード(11日からのソフトバンク戦)からは打者として気持ちを切り替える」と言った。もう誰も勢いを止められなくなってきた。

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