和田 万感87球 3年目ついにメジャー初登板

[ 2014年7月10日 05:30 ]

<レッズ・カブス>メジャー初登板を果たしたカブス・和田(AP)

ナ・リーグ カブス5―6レッズ(第2試合)

(7月8日 シンシナティ)
 万感の87球――。カブスの和田毅投手(33)が8日(日本時間9日)、レッズとのダブルヘッダー第2試合に先発して、渡米3年目で待望のメジャー初登板を果たした。5回を5安打1失点(自責点0)と好投。救援陣が逆転を許して勝敗は付かなかった。日本球界通算107勝の左腕が、左肘のじん帯修復手術など数々の苦難を乗り越え、ようやくメジャーリーガーとしての第一歩を刻んだ。

 3年分の思いを一球一球に込め、87球を投げ抜いた。白星は付かなかった。それでも、試合後の和田の表情は晴れやかだった。

 「この舞台、このマウンドに立ちたい思いでここまで来た。ようやく実現できた」

 オリオールズと総額815万ドル(当時約6億4000万円)で2年契約を結んだのが11年12月14日。そこから初登板まで実に937日を要し、約2667万円だったオ軍時代の月給は10分の1以下となった。

 待ち焦がれたメジャーのマウンド。前夜はなかなか寝付けなかった。「3年ぶりの大舞台。(11年の)日本シリーズ以来だったので、最初はよく分からなかった。正直、緊張しました」。初回先頭のハミルトンをいきなり四球で歩かせたが、球宴にも選出されている強打のフレージャーを遊ゴロ併殺打に仕留めて落ち着いた。球の出どころが見づらい独特なフォームは健在。「日本時代より球速が上がり、緩急の差が広がった。相手が真っすぐに振り遅れたりしていた」と最速92マイル(約148キロ)を計測し、4回に3番フィリップスから直球で空振り三振を奪った。5回には3連打で無死満塁と攻め立てられたが、味方の失策による1失点で食い止め、マウンドを救援陣に託した。

 「このまま日本(球界)に帰るわけにはいかない。絶対にメジャーで投げてやると思っていました」。12年5月11日に左肘を手術。リハビリ、マイナー生活は長引いた。そしてオ軍との契約が切れた昨オフにカブスとマイナー契約。いつ声が掛かってもいいように、3Aではホテル暮らしを選択。背番号はオ軍での18から67と大きくなったが、腐ることなくはい上がってみせた。

 初登板をどうしても無駄にしたくなかった。実は、オ軍は昨年6月28日のヤンキース戦でメジャーデビューさせる予定だった。しかし、和田本人はその時点で調子が上がっておらず、「もう少し調整させてほしい」と返答。以降、調子を上げたが、補強に成功したチームから声が掛かることはなかった。和田は試合後「1年前なら、こんな投球はできなかったでしょうね。今の方が断然上」と言い切った。

 今回はダブルヘッダーの日に限って一人多く選手登録できるという規定によるベンチ入りだった。9日には傘下3Aアイオワに再合流し、後半戦で先発枠入りを争う。「またあすからマイナーに戻るが、きょうのことを忘れずにやっていきたい」。その目は“必ず戻ってくる”と語っていた。

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