マー君別格12勝 メジャー自己ワースト内容も両リーグ単独トップ

[ 2014年7月5日 05:30 ]

<ツインズ・ヤンキース>4失点も打線の援護に助けられ、12勝目を挙げた田中

ア・リーグ ヤンキース7―4ツインズ

(7月3日 ミネアポリス)
 ヤンキースの田中将大投手(25)は3日(日本時間4日)、ツインズ戦に先発。7回を投げ、全てメジャー自己ワーストの被安打9、自責点4、奪三振3の内容ながら、ア、ナ両リーグ単独トップの12勝目を挙げた。登板17試合での12勝到達は日本選手最速。メジャーデビューからのクオリティースタート(QS=投球回6以上で自責点3以下)は16試合で途切れ、大リーグ新記録こそならなかったが、終盤までマウンドに立ち続け、自身の連敗を2、チームの連敗を5で止めた。

 崩れそうで崩れない。打たれ強さもまた、「超一流」の証だ。田中は試合後、悔しさと安どの入り交じった複雑な表情で振り返った。

 「4点っていうのは取られすぎ。球に全然切れがなかったし、前回対戦(5月31日)した時に比べても数段落ちるぐらいのボール。でも、全然良くない投球でも、チームが勝ったのが一番。そこに尽きる」

 序盤から直球は走らず、変化球も切れがなかった。3回までに5安打され2点を失った。4回、先頭のウィリンハムに投じた甘い直球は打ち損じで右飛となったが、自らのふがいなさを責めるようにマウンドで「駄目だ」と声を上げたほど。軸となる球種も見つけられず、高い修正能力を誇る田中でも立て直しは容易ではなかった。

 決して口にはしなかったが、疲労が蓄積される夏場に加え、前日のニューヨークからミネアポリスへの移動では落雷と豪雨の影響で、チャーター機に搭乗してから「缶詰め」となり、到着も予定より2時間ほど遅れた。イニング間の投球練習でリリースポイントを高くしようとフォームも変えた。普段以上に力んで直球を投じたりと試行錯誤したが、重い体が言うことを聞いてくれなかった。

 そんな不調の中で意識したのは「コースにも投げ切れてなかったので、とにかく低めに投げる」だった。ツーシームやスライダーを低めに制球し、追い込まれてからのスプリットを警戒して早打ちになった相手打線に対抗した。その結果が無四球、そしてメジャー最少の85球という球数だった。もう一つは「気持ちを切らさずに投げる」で、大崩れすることなく終盤までマウンドに立った。

 「クオリティースタートをずっと守っていても負けてたら意味がないし、守れなくてもきょうみたいに勝つこともある。それが野球」

 6回を投げ終え3失点。この時点ではQSを守っていたが、7回1死二塁から適時打を許して4失点目。メジャーデビューからの連続QSは16試合、日米通算では50試合で途切れた。それでもヤ軍で球宴前に12勝を挙げた新人は田中が初めてで日本投手最速での12勝ともなった。

 「また、しっかりと準備したい。いい状態で試合に臨めるように」

 今後は8日のインディアンス戦、13日のオリオールズ戦と、この日を含め3試合連続で敵地での中4日登板が続く。前半戦最後の試練を乗り越え、オールスター戦の舞台となるミネアポリ スへ胸を張って再び帰って来る。

 ▽クオリティースタート(QS) 先発投手を評価する基準の一つ。勝敗にかかわらず、6回以上を投げて自責点3以下に抑えれば、試合をつくり先発の役割を果たしたと評価される。6回終了時点でクリアしていても、7回以降に自責点が4以上となればクオリティースタートにはならない。

 ▼スティーブ・ロジャーズ氏(64=1973年エクスポズで16試合連続クオリティースタート。大リーグ選手会特別補佐)田中の活躍のおかげで、ずいぶん前に引退した私を思い出してもらえてうれしい。私の現役時代は勝つか負けるかが全てで、それ以外の数字が注目されることはなかった。彼の投球はテレビで見ているがスプリット以外にも球種が多くどんどんストライクを投げるのがいい。メジャーの打者を圧倒しているし特別な投手だと思う。機会があれば、ぜひ球場に見に行きたいね。

 ≪12勝到達は日本選手最速≫登板17試合での12勝到達は02年のドジャース・石井一久(スポニチ本紙評論家)の18試合を抜く日本選手最速。球宴前の12勝目は初めてだ。また、ヤ軍の新人でも球宴前に12勝を挙げるのは初の快挙で、1947年にスペック・シェイが記録した11勝を67年ぶりに更新。

 ≪連続クオリティースタート止まる≫田中は開幕からの連続クオリティースタートが17試合目でストップ。日米通算では12年8月26日の日本ハム戦(Kスタ宮城)から50試合連続(1試合の救援登板は除く)で途切れた。

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