守備の人、西武・斉藤「もう真っ白」 プロ1号が逆転サヨナラ

[ 2014年7月3日 05:30 ]

<西・日>9回1死二、三塁、逆転サヨナラ3ランを放った斉藤(中央)は手荒い祝福を受ける。中央右は菊池

パ・リーグ 西武6-5日本ハム

(7月2日 西武D)
 「ひょっとすると…」の期待が「まさか…」となり、そして確信になった。2点差の9回1死二、三塁。クロッタの137キロスライダーを叩いた西武・斉藤は打球が右翼席へ飛び込んだのを確認すると、右の拳を突き上げた。

 今季8打席目で放った2年ぶりの安打がプロ7年目、53打席目での初アーチ。それが劇的すぎるサヨナラ3ランとなった。歓喜のお立ち台では「もう真っ白ですね。全くイメージできていなくて…自分で一番びっくり。打球の感触もあまり覚えてないです。最高です!」と喜びを爆発させた。

 興奮するのも無理はない。今季は俊足を買われ、主に代走、守備要員としての出場がほとんどだった。瞬発力が問われる15メートル走で、金子侑と並びチームトップの2・28秒の韋駄天(いだてん)。この日も、8回に右前打を放った栗山の代走で出場すると、今季7個目の盗塁を成功させた。チームが9回に2点を奪われ3点差。出番は回ってこないと思った矢先の大仕事だった。

 春日部共栄時代は高校通算52本塁打を放ち、未来の西武を担う左の強打者として期待されていた。しかし1軍には定着できず、12年末に右手首を手術。昨季はわずか8試合の出場にとどまった。2月の南郷キャンプでは、伊原前監督が「休日練習はナンセンス」という中、野手陣ではただ一人、休日返上でバットを振り込んだ。それにマンツーマンで付き添った宮地打撃コーチから「腹式呼吸で、落ち着いて楽しくやってこい」と送り出された打席だった。

 12球団で唯一サヨナラ勝ちがなかったチームは今季初の劇的勝利で、連敗を2でストップした。田辺監督代行も「代走、守備要員の斉藤がね…。まさかのホームラン。誰が予想した?」と驚きを隠せず、「よくやった、斉藤!」と激励。指揮官の評価を覆す殊勲打を放った斉藤は「まだ1試合だけなので、年間通して仕事をしたい」と表情を引き締めた。単独最下位転落の危機を伏兵が阻止。西武は決して諦めない。

 ◆斉藤 彰吾(さいとう・しょうご)1989年(平元)5月14日、埼玉県生まれの25歳。春日部共栄では1年夏に甲子園出場も中田(現日本ハム)を擁する大阪桐蔭に敗れ、1回戦で敗退した。高校通算52本塁打をマークし、07年の高校生ドラフト7巡目で西武入り。1メートル78、80キロ。左投げ左打ち。血液型B。今季年俸は推定750万円。

 ≪史上31人目≫斉藤(西)が3―5の9回にプロ初本塁打となる逆転サヨナラ3ラン。プロ1号がサヨナラ本塁打は10年9月1日広島戦の岩崎達(中=現楽天)以来、史上31人目。パでは89年4月8日ダイエー戦の中島輝士(日)以来25年ぶりで、西武では斉藤が初めて。プロ7年目は、56年中島執(大洋)と並び最も遅い劇弾となった。

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