西武・田辺監督代行「厳しくするだけが教育じゃない」昇格後6勝6敗

[ 2014年6月27日 08:45 ]

座右の銘「渾身(こんしん)」と書き記した西武・田辺監督代行

 プロ野球は27日からリーグ戦が再開。楽天と同率最下位からの巻き返しを図る西武・田辺徳雄監督代行(48)が26日、本紙のインタビューに応じ、意気込みなどを語った。交流戦期間中の5日に伊原春樹監督(65)の突然の「休養」を受け、打撃コーチから昇格。現役時代から「おやじ」の愛称で親しまれ、人望も厚い田辺監督代行のチーム再建策は――。

 ――交流戦途中で指揮を執ってから6勝6敗。リーグ戦再開に向けて、今のチーム状況は。

 「ベテランも声を出してくれているので活気が出ている。ベンチは“リードされてもひっくり返せる”と、非常にいい雰囲気になっている」

 ――選手との対話を重視している。

 「ゲームから離れた時に冗談を言ったりするのは、ありだと思う。2軍コーチ時代からのスタンスを変えるつもりはなかったし、それを変えたら選手は気持ち悪いでしょう。選手はゲームになったら仕事をしてくれればいい。厳しくするだけが教育じゃない」

 ――急転直下の就任劇だった。

 「(3日にフロントから)呼び出されて。何のことか見当が全然つかず、打撃の方の注文、諸注意を受けるのかと思った。それしか頭に浮かばなかった。“監督代行”という言葉が飛び出し、チームの状況が状況だっただけに、どういうふうにこの先やっていけばいいのか…と頭が真っ白になった」

 ――就任直後に伊原監督が禁止していた長髪、ひげ、裾の長いユニホームを解禁した。

 「監督代行を受けてすぐに、栗山主将が相談に来た。本来プレーには関係ない、考えなくてもいい部分。それにもかかわらず、いの一番に相談に来たということは、少なからず選手は気にしているんだと感じた。だから“そこは任せるから、その代わりやることはきっちりやってくれよ”と伝えた」

 ――就任4戦目の9日ヤクルト戦(神宮)。初回無死一塁で2番・渡辺がバントをファウルすると、すぐにバスターにサインを切り替えた。結果は右前打で無死一、三塁とチャンスを広げて先制。伊原監督は犠打を継続することが多かっただけに、「田辺野球」が垣間見えた。

 「今までの戦いなら“バントでファウルしたら、次もバントだ”と、こっちのベンチも向こうも頭にあったと思う。もちろん選手の中にも。でも、バスターエンドランに切り替えるということで“今までとは違うぞ”というのをチームに発信したかった。実戦でやらないと、選手にも伝わらない。より強いメッセージになる」

 ――現在借金13で、楽天と同率最下位。浮上のために必要なものは。

 「投手はそろっている。野手はケガ人が(中村や浅村ら)何人か出ていて、ベストメンバーを組めていない。金子侑や山川ら若手が経験を積んでほしい。自信をつけてくれると立派な戦力になる。救世主が一人、二人出てきてくれれば」

 ――最後に今後の戦いへの意気込みを。

 「もううちは、トーナメントみたいなもの。戦う以上はCSを目指している。最後の最後まで諦めることなく、チャレンジャーとしてやっていかないといけない」

 ◆田辺 徳雄(たなべ・のりお)1966年(昭41)5月11日、山梨県生まれの48歳。吉田から84年ドラフト2位で西武入団。主に遊撃手として西武黄金期を支え、90年からのリーグ5連覇に貢献。99年オフに巨人に移籍し、00年に現役引退。通算成績は1229試合で打率.268、87本塁打、442打点。野球解説者を経て、02年に西武2軍打撃コーチ。13年から1軍打撃コーチに就任し、今季途中から監督代行。1メートル78、76キロ。右投げ右打ち。

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