原巨人2年ぶり交流戦V 天国の貢さんへ、まず1冠

[ 2014年6月23日 05:30 ]

<巨・ソ>笑顔で交流戦優勝トロフィーを掲げる原監督

交流戦 巨人10―5ソフトバンク

(6月22日 東京D)
 巨人は22日、ソフトバンクとの交流戦初の直接対決による優勝決定戦に10―5で勝ち、2年ぶり2度目の交流戦優勝を決めた。村田修一内野手(33)の9号2ランなど序盤から得点を重ね、今季3連敗中だった昨季交流戦覇者に大勝。原辰徳監督(55)は5月29日に心不全のため死去した父・貢氏(享年79、東海大野球部名誉総監督)から受け継いだ勝負への執念で接戦を勝ち続け、有言実行の優勝を果たした。リーグ戦は27日から再開し、2年ぶりの日本一奪回を目指す。
【試合結果】

 原監督は選手一人一人の目を見ながらハイタッチを繰り返した。交流戦初の直接対決による優勝決定戦。大一番で力を発揮した巨人ナインの目には力が宿っていた。

 「ギリギリではあったが、勝ち取ることができた。しぶとく僅差のゲームをものにできた試合が多かった。これからの弾みになる」。打線が初回から爆発して10得点。ただ、交流戦では1点差試合で7勝1敗と大きく勝ち越し、2年ぶり制覇につなげた。昨年の楽天との日本シリーズは3勝3敗で迎えた第7戦で敗戦。「勝つべくして勝つ」。そのために言い続けた。「2点取られたなら3点、1点しか取れない時は0点に抑える。何点で抑えれば合格とかは次元の低い話」。1球、1打席の戦い、そこに走攻守全てが絡む。「個の勝利」の積み重ねが最終的な勝利につながることをミーティングで説いた。

 先月29日に父・貢氏は天国へと旅だった。「(勝負は)げたを履くまで分からない」。父の言葉は信念をさらに強固にした。5月31日オリックス戦(京セラドーム)。金子に9回まで無安打に抑え込まれながら延長12回を戦い勝った。15日の楽天戦(コボスタ宮城)。小山を無失点ながら4回2/3で交代。守備に不安のあるセペダを5回裏の守備から下げた。1点勝負に迷いなくタクトを振り、勝利をつかんだ。

 勝負への執念を采配に込める。その中で、選手は局面での対応力と勝負強さが生まれた。逆に若手には明日への道筋を具体的に示した。今月4日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で先発しながら1回2失点で降板した阿南をベンチの横に置いた。「どんな思いで投げたんだ?」。少ないチャンスをモノにする気概がなければ、巨人では生きていけない。内海の離脱に小山、今村が応えた。アンダーソン、橋本の故障離脱を亀井、中井ら故障からの復帰組が埋めた。主力も、若手も精神力は磨かれていった。

 交流戦開幕前にミーティングで「優勝しよう」と言った。交流戦直前のリーグ戦は1勝6敗。最悪の状況だったが、あえて言った。「チーム全体としても、自分自身も鼓舞したかった」からだった。村田、阿部ら主力打者でもヒットエンドランを仕掛けた。「周りから見たら動きすぎということもあるかもしれない。でも自分の中では変わらない」。安定を求めず、常に進化を目指す原野球に終わりはない。

 「交流戦前と現在ではチーム力は上がっている。着実に前に進んでいると思う。でもまだ70%。まだできるチームだ」。2年ぶりの日本一奪回へ、指揮官の思い描く大輪の花はまだ芽吹き始めたばかりである。

続きを表示

この記事のフォト

2014年6月23日のニュース