西武・藤原 涙のプロ初勝利 7年目背水イヤーでつかんだ

[ 2014年6月14日 05:30 ]

<西・広>7年目でプロ初勝利の藤原(左)は田辺監督代行に祝福され笑顔を見せる

交流戦 西武7―0広島

(6月13日 西武D)
 西武・藤原良平投手(28)は13日、広島戦に先発。5回1/3を3安打無失点と踏ん張り、7年目で待望のプロ初勝利を挙げた。鳥取城北、第一工大を経て08年に入団した右腕。入団時はスリークオーターだったが、右肘の故障もあり、12年にサイドスローに転向。遅咲きながら大輪の花を咲かせ、ウイニングボールを病床の父にささげた。

 目は潤み、体は震えた。苦節7年目でつかんだウイニングボール。西武・藤原は初めて上がったお立ち台で何度も声を詰まらせた。

 「なんて言っていいか分からないけど、今までチームの役に立てなかった。中継ぎでの1勝より先発で勝ち取った1勝は自信になる」

 エース・岸が右肩の違和感で出場選手登録を外れ、巡ってきた自身2度目の先発マウンド。相手はプロ初先発となった5月26日(三次)に黒星を喫した広島で、「同じ相手に2回やられるのは嫌だった」と、最速147キロの直球とスライダーを軸に5回まで1安打に抑えた。

 鳥取城北でも甲子園出場はなく、藤原自身も家業の大工を継ぐことも考え、第一工大に進んだ。アマ時代は全国的には無名の存在。07年ドラフトで3巡目指名されたときは「隠し玉」として注目を浴びた。しかし、プロ入り後は右肘の故障もあり、鳴かず飛ばず。12年秋に一大決心し、上手投げから横手投げに転向。「上から投げたいこだわりはあったけど、変えていなかったら今、こうして野球はやっていない」としみじみ振り返った。

 「もう僕は後がないので…」。背水の陣で挑んだ今季で手にしたプロ初白星。勝利球は病気で入退院を繰り返す父・俊平さん(58)に送り届ける。「僕は細く長くでいいんです。1軍で投げるのが本当に楽しいんです」。昨季までの1軍登板がわずか8試合だった28歳は、涙をこぼさないように天を見上げた。

 ▼鳥取城北・石川晴久元監督(現教頭)初勝利おめでとう。これまで地道に努力してきた結果が出て良かった。

 ◆藤原 良平(ふじわら・りょうへい)1986年(昭61)2月15日、兵庫県生まれの28歳。鳥取城北では甲子園出場なし。第一工大で下手から上手投げに転向。3年秋からエースとなり、公式戦15試合で10勝2敗、防御率0.99。07年大学生・社会人ドラフト3巡目で西武入団。昨季はイースタン・リーグで11勝、82奪三振で、最多勝と奪三振王に輝いた。1メートル83、79キロ。右投げ右打ち。

 ≪遅咲き勝利≫7年目の藤原(西)が5回1/3を無失点でプロ初勝利。ドラフト制後、プロ初勝利まで最も年数がかかったのは97年西清孝(横浜)の13年目。西武では82年木村広、85年黒原祐二の7年目と並ぶ遅咲き勝利となった。

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