元楽天コーチ・小山さん観戦記 マー君の強心臓と修正能力を再認識

[ 2014年6月13日 09:40 ]

<マリナーズ・ヤンキース>田中の登板を観戦する元楽天トレーナーの小山隆司さん

ア・リーグ ヤンキース4―2マリナーズ

(6月11日 シアトル)
 セーフコ・フィールドのスタンドには田中をよく知る男がいた。昨年まで楽天でコンディショニングコーチを務めた小山隆司さん(33)で、現在は近隣のオレゴン州に語学留学中。前日の岩隈の登板も観戦しており、楽天時代に陰で支えた2人のマウンド姿を頼もしそうに振り返った。

 田中の移籍が決まった1月。このマリナーズ―ヤンキース戦の観戦が今年の目標の一つでした。雨でヤンキースの先発が変わらなければ、直接対決。見たいけど、見たくない。どちらも応援したい。正直、複雑な気持ちでした。対決がなくなり残念ですが、少しホッとしたのも本音。しっかり2人を応援できました。

 田中は私が1軍担当になった07年に入団。当時から精神的に成熟していました。確か、2年目の08年。日本ハム戦で打ち込まれ、当時の梨田監督が投球時のクセをほのめかしました。本人に伝えた時の返答にハッとしたのを覚えています。「これは僕のフォームをかく乱させようとしていると思う。本当にそうなら、きっとスコアラーやコーチ、仲間が教えてくれる。動揺したら思うツボです」。当時、田中は19歳。若い時からあれほど、どっしりした人間は見たことがない。マウンドでの姿を見て、今も変わらないなと感じました。

 岩隈は私が2軍担当で楽天に入った06年、肩の故障で2軍生活が長かった。苦悩する姿が強く印象に残っています。地方遠征では彼のためにジム探しに奔走したのもよく覚えています。前日は8回途中3失点で黒星。でも、投球を見て勝ち星は自然と付いてくると思いました。コンディショニングコーチだった立場から言えば、2人とも登板間での修正能力が人一倍高い。メジャーでも調整に適応していると聞きます。この2日でそれを再確認できました。

 メジャー観戦は初めて。あらためてあれだけ大勢の人間をひきつける力が野球には、そして岩隈、田中にはあると感じました。それだけの存在である2人の元チームメート。あらためて敬意を表したいと思います。

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2014年6月13日のニュース