兄貴の意地!新井 爆勝演出マルチ 2年ぶりスタメン三塁で燃えた

[ 2014年6月5日 07:42 ]

<楽・神>2回無死、新井は左中間二塁打を放ち滑り込む

交流戦 阪神9-1楽天

(6月4日 コボスタ宮城)
 兄貴の存在感を示した。阪神の新井貴浩内野手(37)が4日、楽天戦(コボスタ宮城)で12年7月8日の巨人戦(東京ドーム)以来となる三塁で先発出場し、逆転の起点となる二塁打など2安打を放ち11安打9得点の大勝に導いた。先発した藤浪が登板した試合では、昨季も好成績を残しており、この日もきっちりと援護。チームも楽天戦の連敗を6で止めた。

 思いを込めた全力プレーだった。今季5試合目の先発出場の舞台は思い入れのある仙台。新井は泥臭く、そして必死に戦い、チームの勝利に表情を崩した。

 「練習中から(地元の人に)声をかけてもらっていた。元気な姿を見せられて良かった。チームも勝ったしな」

 初回の守備でいきなり、先頭打者・藤田の痛烈な一打を体で止め、素早い送球で一つ目のアウトを奪取。「緊張はした。ただ、エラーをしても“前へ、前へ”という気持ちだけは持ってやった」。今季も春季キャンプから三塁での守備練習を志願してきた。その積み重ねが、この夜につながった。

 いい流れは打撃にも生きた。1点を追う2回無死、左腕の川井から左中間へ二塁打。この回3得点の口火を切ると、続く3回は1死から右腕・上園のチェンジアップを右前打し一挙4得点の起点となった。

 チームは前夜、3点リードを守り切れず逆転サヨナラ負け。新井の出番は最後までなかった。この日はチーム宿舎で12年7月8日の巨人戦以来となる三塁での先発起用を告げられていた。相手先発は左腕の川井だったことから、弟・新井良の先発起用も十分に考えられたが、和田監督から流れを変える男として指名された。

 「(前夜は)嫌な負け方だった。そのムードを変えるのに、新井に一役買ってもらいたかった。それ(今後も起用できる)ぐらいの物は見せてくれたので良かった」。11安打9得点の猛打を呼んだベテランの底力に指揮官も最敬礼した。

 チームはもちろん、藤浪にとっても頼りになる先輩だ。昨季から藤浪登板時になると、不思議なことに快音を連発。この日の2安打を加え、通算86打数28安打の打率・326、3本塁打、12打点と好成績で援護している。

 前日3日の試合前には「被災地への思いは変わらない。できることは少ない。自分にできることをやるしかない」と仙台での試合出場への熱い思いを吐露していた。11年3月の東日本大震災発生当時はプロ野球選手会の会長として奔走した。その後も学校訪問などを続けていたが、今年は練習と重なり慰問は実現せず。それだけに出場を願っていた。

 「仙台で試合に出られてよかった…」。チームを勝利へと導いたベテランが東北への思いを全力プレーで伝えた夜だった。

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