キューバの狙いとは 国外プロ活動解禁は「国と選手双方にメリット」

[ 2014年6月3日 09:00 ]

キューバの野球事情などについて質問に答えるキューバ大使館のダミアン・デルガド3等書記官

 キューバが変わる。昨年9月、それまで禁止していたスポーツ選手の国外でのプロ活動を解禁。今年に入り、フレデリク・セペダ外野手(34)が巨人、ユリエスキ・グリエル内野手(29)がDeNAに相次いで入団した。来季は国内リーグで史上最多タイの3度のMVPを誇るアルフレド・デスパイネ外野手(27)をはじめ、さらに多くの選手が来日する可能性もある。キューバの狙いは。キューバ大使館のスポーツ担当、ダミアン・デルガド3等書記官(31)に今後の展望を聞いた。

 社会主義国ゆえに、これまでかたくなにスポーツ選手の国外プロ活動を認めてこなかったキューバ。そのため他国のレベルアップを横目に、近年の国際大会では低迷した。野球界では亡命者が続出し、メジャーでプレーする選手が相次いだ。だが、昨年9月にプロ契約を解禁。「キューバの至宝」と呼ばれるセペダやグリエルの来日が実現した。

 ――デルガド3等書記官に聞きます。なぜ、国外でのプロ活動を解禁したのか。

 「キューバ政府が近年取り組んでいる経済、社会モデルの刷新、その一環です。プロ解禁は日本だけでも、野球だけでもない。キューバ選手が外国の高いレベルのリーグに参加することは、キューバ全体のメリットになる。例えばセペダは国内の評価が高い選手ですが、日本というレベルの高いリーグでプレーできるようになったことで、セペダ自身にもメリットがある」

 ――「赤い稲妻」と呼ばれ、かつては世界一にも輝いたキューバが、なぜ日本で学ぶことに。

 「野球はキューバにとって国技のようなもの。だが、世界のレベルはどんどん上がってきている。キューバはレベルを維持する必要がある」

 ――セペダとグリエルが日本でプレーすることに対する国内の反応は。

 「WBCなどを見て、キューバ人はイチローや阿部のこともよく知っている。2人が日本でプレーすることを国民は凄く満足しているし、ポジティブに捉えている」

 ◆ダミアン・デルガド・バスケス 1983年2月16日、ハバナ市生まれの31歳。ハバナ大法学部を経て、08年に外務省に入省。昨年10月に3等書記官として来日した。趣味は読書。柔道、テニス、フェンシング、テ コンドーなど豊富なスポーツ経験を誇る。

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