乙坂 代打で初打席弾!3年目20歳がベイ日本人初快挙

[ 2014年6月1日 05:30 ]

<ロ・D>9回無死、乙坂(左から2人目)はプロ初打席で本塁打を放ち、チームメートからの祝福を受ける

交流戦 DeNA4―1ロッテ

(5月31日 QVC)
 幕張の海から吹き込む逆風を突いて伸びる。「いってくれるかな…」。半信半疑で一塁に走ったDeNA・乙坂の視線の先で、打球は右翼席で跳ねた。プロ初打席初本塁打。日本選手としては球団史上初の快挙だ。

 「最高です。常にチャンスが来たら、活躍する準備はしてきた。中途半端(なスイング)はしたくなかったんで思い切っていきました」

 2―1で迎えた9回の先頭打者。ソーサに代わる代打に指名された。5月26日に出場選手登録され、代走では2試合出場しているが、初めて巡ってきた打席。横浜高の先輩・多村が「自分を信じて思い切りいけ」と言って送り出してくれた。初球、2球目と空振り。「(頭の中が)真っ白だった」というわりに「力んでいる」と冷静に感じ、肩の力を抜いた。ひとつボールを挟んでの4球目。益田の投じたインハイ、139キロの直球を体を回して捉えた。

 入団3年目の20歳。横浜で生まれ、石井琢や金城に憧れて育った。どうしても入りたかったDeNAの1軍初打席で、貴重な追加点となる一発を放った。技術面では今季から右手はバットを軽く握る「半握り」に変えた。ガチガチに両手で握った以前のように力むことがなくなり、トップから右手で球を捉えるイメージでインパクトの精度が上がった。

 そして、うれしい悲鳴を上げたのが中畑監督だ。「うわあ、困っちゃったなあ」。そしてコーチ会議後に種明かしした。「(1軍の打席に立たせて)いい思い出をつくってあげて、ピッチャー(1日のロッテ戦で7年ぶりに先発する山口)と代えるつもりだったんだけど…。激論した結果、“持っている”選手を落とすわけにはいかないという結論になりました。1週間伸ばします」

 自分の力で勝ち取った1軍帯同延長。チームは5月を13勝12敗で、9年ぶりとなる勝ち越しを決めた。

 ◆乙坂 智(おとさか・とも)1994年(平6)1月6日、神奈川県生まれの20歳。横浜高では1年秋から正右翼手を務め、同期の近藤(日)らと3年時に春夏甲子園連続出場。11年ドラフト5位でDeNA入団。昨季まで2年間は1軍出場なし。1メートル82、83キロ。右投げ左打ち。50メートル走5秒8。遠投100メートル。趣味はホラー、アクション映画観賞。好きな食べ物はハラミ、タンの焼き肉で、苦手は魚。

 ≪57人目≫乙坂(D)が代打でプロ初打席初本塁打。初打席初本塁打は、メヒア(西)が5月15日の日本ハム戦で記録して以来プロ野球57人目(セ29人目)。チームでは67年スチュアート(当時大洋)、09年ランドルフ(当時横浜)に次ぎ3人目だが、日本人では初となった。また、初打席初本塁打を代打でマークしたのは、11年森田(神)以来史上14人目で、チームおよび交流戦では乙坂が初めてだ。

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