内海 やっと1勝!10度目の正直、左足つりかけても続投志願

[ 2014年5月30日 05:30 ]

<巨・楽>今季初めてのウイニングボールを手に本当にうれしそうな内海(中央)

交流戦 巨人6-0楽天

(5月29日 東京D)
 巨人・内海哲也投手(32)は29日、楽天戦に先発。2回以降は毎回走者を背負いながらも、粘りの投球で7回を4安打無失点。今季10試合目の登板でようやく1勝目を手にした。内海は交流戦通算20勝目となった。打線も好投しながら勝てなかった悲運の左腕エースを援護。7回2死満塁からフレデリク・セペダ外野手(34)が3号グランドスラムを放つなど6点をプレゼント。エースと4番のそろい踏みで、巨人は2位に再浮上した。

 忘れかけていた「味」だった。今季10戦目での初勝利。プロ11年目。円熟期に入ったはずの内海が感慨深げに本音を漏らした。

 「(喜びは)ひとしおです。こんなにうれしいんですね。正直、しんどかった。今までで一番苦しんだ1勝」

 気迫でつかんだ。1点リードの6回2死一塁。この日92球目、ジョーンズへの3球目を投じた直後に左太腿裏がつりかけた。一度ベンチ裏に下がったが「中継ぎが出て行くのは酷なこと」と続投を志願。ジョーンズには左前打されたが、続く嶋を二ゴロに仕留めた。

 2―0の7回は左翼・中井の失策から無死一、二塁のピンチを背負ったが「粘りが僕の真骨頂。自分が抑えるしかない」と後続を断った。初回以外は全て走者を背負いながら7回4安打無失点。試合後、ウイニングボールをもらい、原監督から「これで、もう大丈夫だな」と肩を叩かれた左腕は、お立ち台で「遅くなってすみません!苦しかったけど、いつかこういう日が来ると思って一生懸命投げました」と笑った。

 16日の広島戦(東京ドーム)登板前の休日。東京都渋谷区にある明治神宮を訪れた。朝7時すぎに到着し、初勝利を願って参拝。パワースポットとして注目を集める湧き水の井戸「清正井(きよまさのいど)」でも手を合わせた。前回23日のロッテ戦(QVC)前は登板間のブルペン入りを2回に増やしたが、調整法は「変えないことを心がけた」と基本のルーティンは貫いてきた。そんな男がわらにもすがる思いで神頼みに出た。それだけ長いトンネルから抜け出そうと必死だった。

 指揮官の言葉にも救われた。1点しか援護点がなく、5敗目を喫した23日の翌日。原監督から「いつもいつも打てなくて悪いな。頑張ってくれ」と励まされた。胸にしみた。「楽になった」と気持ちを奮い立たせ、「10度目の正直」で待望の初白星を挙げた。

 「これからどんどんチームに恩返しできるように頑張っていきたい」。開幕から約2カ月、チーム51試合目。エースの14年シーズンがようやく開幕した。

 ▼巨人・阿部(内海を好リード)チーム全体がテツ(内海)の1勝で変わると思うよ。

 ≪交流戦5人目通算20勝≫内海(巨)が自身最も遅いシーズン10試合目の先発で今季初勝利を挙げた。交流戦は通算20勝目(17敗)。通算20勝以上は5人目で、セの球団のみに所属して達成したのは内海が初めてになる。内海はこれで楽天戦は通算8勝1敗、防御率1.00。交流戦の同一カードで投手が挙げた白星として次いで多いのは成瀬(ロ)の巨人戦とDeNA戦、武田勝(日)の広島戦で各6勝。内海が自らの持つ最多記録を更新した。

続きを表示

この記事のフォト

2014年5月30日のニュース