「チッヒロ~」コール応えた!金子 投打で“マエケン討ち”

[ 2014年5月24日 05:30 ]

<オ・広>7回2死二塁、適時二塁打を放つ金子

交流戦 オリックス3―1広島

(5月23日 ほっと神戸)
 神戸の夜空に懐かしいコールが響き渡った。「イッチロ~」。いや、よく聞けば微妙に違う。「チッヒロ~」。オリックスが2点リードした7回2死二塁、左打席に入ったのは金子千尋だ。広島・前田健に対し、それまでは一度もバットを振らずに、2打席連続の3球三振に倒れていた。

 「それまでは打てる球が1球もなかった。あの打席は振ろうと思っていた」。初球ストライクからの2球目。148キロの速球が甘く入ると、金子がバットを鋭く振り抜いた。野手顔負けのライナーは前進守備の中堅のはるか頭上を越え、適時二塁打。「打ったのはまぐれ。真ん中付近に直球がくることを信じて振ったら当たりました」。

 プロ初打点に一塁ベースを回る際には、思わず笑みを漏らした。今季の交流戦はパ・リーグの本拠地ではDH制がない。金子の打撃を初めて見る地元ファンも驚いた。

 右投げ左打ちで、長野商時代は「長野のイチロー」とも呼ばれた金子だが、プロではこれが3安打目。「痛くなかったから、バットの芯だったのかな」。リーグを代表するエース対決で、自らのバットで3点目を叩き出し、この回で前田健を降板に追いやった。

 「本業」でも投げ勝った。8回無失点で4勝目。「意識していないと言いつつもどこかで意識していた」。被安打7と、毎回のように走者を背負ったが「逆に集中できた」と気持ちを切らさない。5回1死二、三塁で梵、菊池を内野ゴロに仕留め、7回無死一塁は痛烈なライナーを自ら好捕して併殺に。投げて打って守って、3万1318人の観客を魅了した。

 チームは首位をキープし、貯金を今季最多の13に戻した。「一試合一試合、気を抜かずに頑張っていく」。お立ち台は投打のヒーロー・金子一人だけだった。

 ≪最多QS9度≫金子が8回無失点で今季4勝目。同僚の西が既に8戦8勝と2倍の勝ち星を稼いでいるが、金子は登板した9試合に全て6回以上を自責点3以下のクオリティースタート。今季QS9度は両リーグを通じ最も多い。打っては7回に中越え適時二塁打。安打はプロ入り3本目だが、打点は初めて。オリックスの投手で安打による打点を挙げ、その試合に勝ったのは、91年5月29日近鉄戦でシュルジーが延長11回表に勝ち越し本塁打を放ち、その裏を抑え切って以来23年ぶり。

続きを表示

この記事のフォト

2014年5月24日のニュース