オリックス・金子 僕はエースじゃない 三振の話題は「ほっといて」

[ 2014年5月23日 11:35 ]

スポニチ本紙に思いを激白したオリックス・金子

 オリックスの金子千尋投手(30)が、スポニチ本紙の単独インタビューに応じ、胸の内を明かした。「優勝への思い」や「エースとは何か」から、キャンプ中に話題になった「ノースロー調整」など、多岐にわたって思いを告白。23日の広島戦(ほっと神戸)に先発する右腕に迫った。

 ――チームが好調だ。

 「この時期にここまで状態がいいことはなかったので、新鮮ですね。いい意味で勝っている流れを止めたくないプレッシャーはあります」

 ――自身の現状は。

 「正直、ここ最近は納得いく投球ができていない。3勝のうち2勝が完封で良すぎた。ああいう投球をすると、変にそこを目指していい時の事ばかり考えて陥ってしまうのが(2、9日の)日本ハム戦のときにあった」

 ――エースと言われる。

 「僕自身はエースだと思っていない。いろんな人に言われて『また言っているわ』『やめてくれ』と思います。でも、そういう投手にならなければいけない立場だとは思っているし、チームを引っ張らないといけない。開幕投手をやらせてもらった以上は、そういう(エース級の)投手と当たるので、僕が勝たないとチームは乗っていけない。責任は感じています」

 ――謙遜に聞こえるが。

 「防御率は1点台かもしれないが2試合連続で日本ハムに負けた。僕が投げた8試合でチームは半分負けている。いくら三振が多くて防御率1点台でも、半分負けては」

 ――今年も三振が多い。

 「初めから狙っているわけではないが、2ストライクからの球をしっかり投げられている結果かな。三振が多くとなると相手打者が早いカウントで手を出さなければと思う。それは僕の目指している球数の少ない投球につながるので、今のスタイルを変えるつもりはない。ただ、三振の話題になると『ほっといてくれ』と思います。僕からしたらなくてもいいもの」

 ――去年は新たにパワーシンカー(※注1)を取り入れた。球種を増やすのはどんな考えからか。

 「単純に、投げられる球は全て投げたい。今、ある(存在する)球を」

 ――去年は何球投げた?

 「10球前後です。今年はあまり投げていないが、実はもう投げました。思い通りの変化をしていないので投げる機会は少ない。これから、もっと投げようとも、なくそうとも考えていない」

 ――完成する前に、試合で新球を試すのも金子選手独特の考えだ。

 「僕からしたら当たり前の話ですが…。完成してから投げて、打たれたらショックでしょ。完成してない時点で試せば、良くなかったら『何を変えれば打ちづらくなるだろう』と考えられる。でも、完成してから投げたら『何でダメなんだろう』と、悪い考えになる」

 ――他では聞かない話。

 「僕は特に『バッター目線で考えろ』と思う。自分目線では僕の場合、あまり変化していないことの方が多い。でも、僕がバッターなら、あまり変化しないツーシームやカットボールの方が打ちづらい。あれっ? 何、今の球? と思わせたい。例えば、ダルビッシュのスライダーは誰が見てもすごい。打てなくても当たり前と割り切って、違う球を狙えばいいと考える人もいるが、僕の球はどの球も打てそうな感じで、でも打てない。そういう変化球を目指したい。それが球種の多さにもつながってくるのかな」

 ―今年も新たにパワーカーブ(※注2)に取り組んでいる。どんな球?

 「従来のカーブはタイミングをずらす、バッターの目線を変えるものです。今年、投げ始めたものは、どちらかといえば空振りを取りたいイメージ。カーブよりスピードは速く、変化は若干小さくなるものです」

 ―球種を増やす欲求は止まらない。

 「そろそろ、なくなってきましたかね。今持っている変化球の中でいろんな変化をさせたい、とは思います。スライダーでもいろんな変化がある。1つの変化球は1つの変化だけではないので」

 ※注1 大リーグ・タイガースのバーランダー投手が得意としている。金子自身は昨年12月のラジオ番組の中で「サイドスローの人(が投げるシンカー)より速く、シュートより若干遅くて変化が大きいもの」と説明。

 ※注2 通常のカーブより速く、スライダーより大きく曲がり落ちる。ハードカーブとも呼ばれ、レッドソックスなどで活躍したサイ・ヤング賞3度の右腕ペドロ・マルティネスも得意とした。

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