ロッテのプロ初打席弾男・加藤 1年ぶり一発がサヨナラ

[ 2014年5月21日 05:30 ]

<ロ・ヤ>10回2死一、二塁から加藤(左端)がサヨナラ弾。ナインに迎えられる

交流戦 ロッテ9―6ヤクルト

(5月20日 QVC)
 「持ってる男」が大仕事をやってのけた。今季1号が値千金のサヨナラ弾。ロッテ・加藤は先輩たちがつくった本塁ベース上の歓喜の輪に、自ら飛び込み体を委ねた。

 「人生初です。まさか入るとは思わなかった。今まで何度もチャンスをもらいながら期待を裏切ってきたので良かった」

 まさに、どんぴしゃの一撃だった。5―6の9回2死から井口の同点ソロで追いつき、延長戦に。10回も2死から、今江の四球と金沢の左前打で一、二塁とした。6回に代打で出場し、ここまで2打席は左打席に立っていたスイッチヒッターの加藤は、左腕の久古に対し、この試合初めて右打席に立った。不安はなかった。「左も右もどっちも調子がいいというのはない。今は右の方が状態がいいので」。その自信が結果に表れた。

 新人だった昨年5月12日の楽天戦(QVCマリン)でプロ初打席初球本塁打という鮮烈デビューを飾った。新人では50年の塩瀬盛道(東急)以来、63年ぶり2度目の快挙。さらに10月12日の西武とのCSファーストステージ第1戦(西武ドーム)でもポストシーズン初打席で本塁打を放った。レギュラーシーズンでは2本目のアーチとなったが、インパクトでは負けていなかった。

 この日は弟・隼太(しゅんた)さん(18)が今季初めて観戦に訪れ、気合が入っていた。東京・八王子市内から1人で球場に駆けつけていた隼太さんは、兄の一発を目の当たりにし号泣。試合後は抱き合い、喜びを分かち合った。「去年の初本塁打も母の日でしたし、本当に凄い。うれしいです」。そんな弟を横目に13日に1軍に昇格したばかりの加藤は「今まで一度もケンカしたことないんです。弟の前で打ててうれしい」と目尻を下げた。

 9回2死からの同点弾&サヨナラ弾は、球団では91年以来、23年ぶり。ロッテが本拠地での交流戦開幕戦をど派手に飾った。

 ◆加藤 翔平(かとう・しょうへい)1991年(平3)3月28日、埼玉県生まれの23歳。小2から野球を始め、春日部東では甲子園出場なし。上武大では関甲新学生野球リーグで3年春から4季連続ベストナイン。4年時は春に盗塁王、秋に打点王。12年ドラフト4位でロッテ入り。好きな選手は新庄剛志氏。50メートルは5秒68、遠投120メートル。1メートル83、84キロ。右投げ両打ち。

 ≪23年ぶりのサヨナラ劇≫ロッテは5―6の9回2死から井口が同点弾を放ち、延長10回加藤がサヨナラ本塁打。ロッテがあと1人で敗戦の場面から同点弾で延長戦に持ち込み、サヨナラ弾で決着したのは、91年9月17日ダイエー戦(川崎)で9回愛甲同点、延長10回堀サヨナラと記録して以来23年ぶり。

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