大瀬良5連勝!セペダ連続K斬り「特に意識しませんでした」

[ 2014年5月17日 05:30 ]

<巨・広7初回、2ランを放ったエルドレッド(55)を敬礼で迎える大瀬良

セ・リーグ 広島7―2巨人

(5月16日 東京D)
 巨人にリベンジ!首位を走る広島のドラフト1位・大瀬良大地投手(22)が16日、唯一の黒星を喫している巨人相手に8回を5安打2失点と好投。注目の新外国人選手、フレデリク・セペダ外野手(34)から2三振を奪い、3打数無安打に封じた。これでプロ初勝利から5連勝で勝ち星はチーム単独トップ。大物ルーキーの快進撃で、チームは2位・阪神とのゲーム差を今季最大の4に広げた。

 まるで動じない。鋭い眼光。変わらぬ表情。マウンドの大瀬良は顔色一つ変えずにセペダに立ち向かい、完璧に抑え込んだ。その姿は「木鶏(もっけい)」そのものだ。

 「特に意識しませんでした」。ルーキーはさらりと言った。前日に「えぐいらしいですね」と警戒してたのが、いざ対峙(たいじ)したら一変。そこに真の強さがある。「木鶏」とは強さを外に表さない最強の闘鶏のたとえ。今年1月の入寮時に持参した色紙には、九州共立大・仲里清監督が記したその2文字があった=写真(左)(下)。恩師の教えを胸に、キューバを代表する強打者へ淡々と投じた15球には、外に表れない強さがあった。

 初回2死一塁で迎えた初対決。2球、内角を突いた。盗塁死で2回の先頭打者となり、2球目にまた内角直球。切れのある144キロは布石にするのに十分だった。追い込んでから外角のチェンジアップで空振り三振。4回も2、4球目の内角をファウルさせ、最後は外角直球を空振りさせた。そして6回は、初球に外角へ投じた誘い球のチェンジアップを打たせて平凡な一ゴロ。内角を潜在意識にすり込ませ、全3打席外角で打ち取った。

 ノーステップの軸回転で打つキューバ独特の打撃スタイル。極めて穴が少なく、昨年のWBCで侍ジャパンの戦略コーチを務めた巨人・橋上打撃コーチは「内角をうまく使うくらいしか攻め手がなかった」という。その内角を、大瀬良は最大限に有効利用した。打線に勢いを欠く今の巨人。4番を封じ、ソロ2発だけの8回2失点に抑え、初黒星を喫した巨人から5勝目をつかみとった。

 「僕自身も同じ相手に2度負けるのは嫌だった」。前回は高めに浮いて打たれた反省も生かした。最速149キロの直球、スライダーを低めに集めてこれで5連勝。8日のヤクルト戦(神宮)に5失点降板した翌日、2軍調整中の野村から届いたメールも励みになった。「疲れてるんじゃないか?どこか痛いのか?」。一昨年の新人王右腕の気遣いを調整に生かした。右肘が下がり気味だったフォームを遠投で修正。休養日を返上で走り込みも行った。「この時期と夏場がしんどくなる。そんな話を聞いていたので、前もって準備できた。いい助言を頂いた」。

 5勝はエース前田健、バリントンを抜いてチーム単独トップだ。野村監督も「大瀬良が投げると打線が点を取る。テンポやリズムがいい」と絶賛した。開幕から金曜日は7戦7勝となったチームは首位を快走。赤ヘルの進撃は不動心のルーキーが拍車をかける。

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