西 開幕7戦7勝 ブツブツ暗示で球団タイ75年ぶり

[ 2014年5月14日 05:30 ]

<楽・オ>7回、楽天打線を三者凡退に仕留め、グラブを叩く西

パ・リーグ オリックス2―1楽天

(5月13日 コボスタ宮城)
 ベンチ前でオリックス・西はペーニャとハイタッチした。「苦しかった。カードの頭だし、連敗はできない」。笑顔の裏には苦闘があったが、113球の熱投で8回無失点。しかも、ただの1勝ではない。これで開幕から7戦7勝となり、阪急時代の1939年に高橋敏がつくった球団記録に並ぶ、実に75年ぶりの快挙となった。

 マウンド上で、声に出して投球を確認するのがスタイルだ。「低めに投げれば大丈夫」。この日は8イニングで、7度も走者を背負い、4度も得点圏に進まれた。「いつもより、声が大きくなりました」。つぶやく言葉にも力が入ったが、帽子のつばに記した「きっと大丈夫」という気持ち同様、自信を持って投げ込み、得点は許さなかった。

 球団記録に並んだことには「光栄なことですが、一戦一戦大事にいきたい」と特別な感想はなかった。ただ、無失点で粘ったことには少しだけ喜んだ。同時に、「ああいうところで粘れるのがエース。金子さんは動じていないし、淡々と投げて抑えている。もっと余裕持って投げたい」と目標を口にした。

 金子を追い抜くこと――。今年は、目標を周囲に公言するようになった。昨年は6月まで6勝2敗と好発進したが、7月以降は3勝6敗。負け続けたとき、何度か助言を受けた。詳細は明かさなかったが、金子は「技術的なことではなく、精神的なこと」と言う。心の強さがなければ、勝ち続けることはできない。エースの言葉は西の心にも大きく響いた。

 「耐える力がないと勝てる試合ではなかった」と森脇監督は西の忍耐力を称えたが、「記録というなら、並んだここからがスタート」と加えた。3、4月に5勝を挙げて自身初の月間MVPを獲得したが、エースになるための道はここからかもしれない。

 ≪全試合QS≫西(オ)が両リーグトップの7勝目。開幕から7戦7勝以上は、09年田中(楽=7戦7勝)以来5年ぶりで、チームでは阪急時代の39年に高橋敏がマークした球団記録に並んだ。今季の西は全試合で6イニング以上を投げて自責点3以下のクオリティースタートをマーク。9イニングあたりの被安打率4・75、与四死球率1・31は、ともにパの規定投球回以上投手で最少と抜群の安定感を誇っている。

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