慶大のライアン、加藤拓 毎回15K初完封 150キロ出た

[ 2014年5月12日 05:30 ]

<法大・慶大>15奪三振で法大打線を完封した慶大・加藤拓

東京六大学野球第5週最終日 慶大5―0法大

(5月11日 神宮)
 2回戦2試合が行われた。慶大は加藤拓也投手(2年)が法大を相手に毎回の15三振を奪い、散発4安打でリーグ戦初完投初完封。1つの引き分けを挟む6連勝で勝ち点3とし、単独首位に立った。立大は東大に14―2で大勝し、連勝で初の勝ち点を挙げた。東大はリーグワースト記録を更新する74連敗を喫し、33季連続の最下位が決まった。

 9回2死二塁。フルカウントからの9球目、加藤拓はこん身の直球を投げ込んだ。自己最速タイの150キロ。外角高めに外れて歩かせたが、133球目に計測してみせた。仕切り直しの134球目で三邪飛に仕留め、ガッツポーズを決めた。

 「うれしいです。初めて9回を投げて少し疲れたけれど、球威は落ちなかった。連勝のプレッシャーはあったけど、マウンドに行ったら忘れた」

 法大を相手に毎回の15奪三振。しかも、14三振は直球で奪い、変化球で奪ったのは1つだけという剛腕ぶりだ。5回2死から7回2死まで6者連続。4安打でリーグ戦初完投を完封で飾った。2年生右腕がチームを6連勝の単独首位に導き、病気療養中の竹内秀夫監督の代行を務める江藤省三監督は「もともとこれくらいやれる男。物おじしない。どんどん成長している」と目を細めた。

 慶応高1年秋に遠投115メートルの強肩を買われ、捕手から投手に転向。本格的な投手歴は5年ほどしかない。1メートル75と小柄だが、このオフにヤクルトのライアン小川のように胸の高さまで左足を高く掲げるフォームに改造した。体全体を使って投げることで球に力が伝わり、球威は格段にアップ。さらに春季キャンプ中に1週間で1000球を投げ込み、課題だったスタミナ不足も払しょくした。1週間前から原因不明の腹痛に見舞われ、体調は万全ではなかったが「薬も効かなかったので、自然治癒に任せました」とたくましかった。

 3年生のエース左腕・加嶋とともに投手陣を引っ張り、防御率1・21は今秋ドラフト候補の早大・有原に次ぐ2位。11年春以来6季ぶりのリーグ優勝に向け、加藤拓は「きょうは調子が良かったけど、悪い時も抑えられたらいい」と気合を入れ直した。

 ◆加藤 拓也(かとう・たくや)1994年(平6)12月31日、東京都生まれの19歳。中学時代は杉並シニアに所属。慶応高進学後、1年秋までは捕手。投手に転向後、3年春からエースを務め、夏の神奈川大会8強。慶大では1年春にリーグ戦デビューし、通算16試合で4勝1敗、防御率1.94。1メートル75、85キロ。右投げ右打ち。

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