エルド 3冠王!開花秘訣は日本語の「しょうがない」

[ 2014年5月11日 05:30 ]

<広・中>4回2死二塁、エルドレッド(右)は左越え2ランを放ち松山とタッチ

セ・リーグ 広島13-5中日

(5月10日 マツダ)
 関東から大挙して押し寄せたカープ女子もたまらない。広島は10日、中日戦で4番のブラッド・エルドレッド内野手(33)が12号2ランを含む3安打3打点。打率・378、12本塁打、39打点で3冠に立った主砲の活躍で、チームはわずか2日前の8日のヤクルト戦(神宮)に並ぶ今季最多の16安打13得点。貯金を今季最多の12とした。「こどもの日」を過ぎても、コイの季節は終わらない。

 快勝のチームにあって、4番の打棒がひときわ光った。カープ女子もほれぼれする暴れっぷり。3、4月の月間MVPに輝いた好調を持続するエルドレッドは、「全員でつかんだ勝利だよ」と献身的な姿勢を崩すことはなかった。

 同点に追い付いて、なお2死三塁の3回。主砲は「右足に体重を残すこと」だけを考えていた。1ボール2ストライクと追い込まれた中、カブレラの外角のスライダーに食らいつき「厳しい球に踏み込めた」。簡単に空振りしないのが、今季の一番の成長だ。これで10試合連続安打とした。

 もっとも、1メートル96、122キロの巨漢には豪快な一発が似合う。4回には内角高めの速球を捉え、滞空時間の長い12号2ランを左翼2階席の防球ネットに直撃させた。ヤクルト・バレンティンに並ぶ特大の140メートル弾に「感触はパーフェクト。ボールを呼び込むようにタイミングの取り方を変えたことで、スライダーの軌道は長く見られるし、直球とわかれば素早くスイングもできる」と胸を張った。

 心躍らせる刺激もあった。試合前のシートノックで広瀬が「見てみろ。女の子ばかりだよ」と、左翼席に陣取るカープ女子の存在を耳打ち。「ゲーム中も黄色い声を掛けてくれた。素晴らしいファンでした」。内野手登録ながら左翼手の助っ人。至近距離からの声援が大砲のバットを後押しした。

 来日3年目。最近気に入っている日本語は「しょうがない」だという。自分のスイングを貫いて打てなければそれまで。そんな割り切りが好調を支えている。

 チームは3連勝で、貯金を16年ぶりとなる今季最多の12と伸ばした。野村監督は「初回の3失点を打線がよく返してくれた」と目を細めた。序盤の劣勢ぐらいでは、誰も「しょうがない」とは諦めない。リードオフマンの堂林、守護神のミコライオが離脱する中でも、広島の快進撃は続く。

 ≪貯金98年シーズン最多に並ぶ≫広島が3連勝でシーズン24勝12敗とし、貯金は今季最多の12。前回2桁貯金を挙げた98年のシーズン最多に並んだ。これで5月は6勝3敗。3月2勝1敗、4月16勝8敗と各月2勝1敗ペース(勝率.667)を維持している。5月は16試合を残しており、2カ月連続で月間15勝以上を挙げれば94年7~8月、96年5~6月以来球団史上3度目となる。

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