走塁でも「忍者」広島・菊池 キクマルコンビで逆転ホーム

[ 2014年5月6日 05:30 ]

<広・D>5回2死一、二塁、バッターランナー丸が挟まれる間に一塁走者・菊池ホームイン。捕手・西森

セ・リーグ 広島5―2DeNA

(5月5日 マツダ)
 青空にたなびく鯉のぼりには足がない。しかし、カープの快進撃には「足」が必要不可欠だ。野村野球の神髄を発揮して、つかんだ逆転勝利。主役は同学年で俊足の、「キクマルコンビ」こと菊池と丸だ。

 1点を追う5回、2死から堂林、菊池が連打。このチャンスに丸がライナーで右前に運んだ。二塁走者の堂林は三塁を回り、右翼手の梶谷は本塁へ送球。ここで丸の的確な状況判断が光った。本塁送球にカットマンが入らない。それを見極めて一気に二塁に向かった。

 丸 タイミング的には厳しいと思ったけど、本塁に送球してくれれば何か起きると思った。

 捕手の西森も、丸の動きを察知し、マウンド方向に動いて捕球し、二塁へ送球。その瞬間、三塁を回っていた一塁走者の菊池がギアを上げて本塁へ突入した。不動の「2番・二塁」に君臨する菊池は守備範囲の広さや超人的な動きから「忍者」の異名を持つ。守備だけでなく走塁でも、一瞬の隙をついた「忍者」のような動きで、逆転のホームを踏んだ。

 菊池 (挟殺プレーで)一塁側に送球したときに行く。僕と丸で意思が通じたということでしょう。

 この日、走塁ミスを重ねたDeNAとは対照的な技ありのプレーに、石井守備走塁コーチも「あれはキク(菊池)の感性。何かやろうと2人は常に考えている」と評価した。さらに、丸は挟殺プレーをかいくぐって二塁へ進み、エルドレッドの左翼線二塁打で生還。1番からの4連打で3点を挙げ、野村監督も「キャンプからの成果が出た。今は先に1、2点取られても何とかなるという空気がある」と満足げだ。

 3試合連続で3万人を超えた観衆の前で2試合連続逆転勝ちし、貯金を今季最多の11に戻した。チーム打率はリーグ5位の・254だが、それを補う集中力が原動力だ。菊池、丸、エルドレッドの打順は今季20試合目だが、3連打は4試合連続で7度目。三本の矢がひとつの「力」になっている。丸は「僕も含めて大事な流れが少しずつ分かってきた」と勝負強い攻撃に自信に満ちた表情だった。

 ≪16年ぶり≫広島がこどもの日に単独首位は98年以来16年ぶり。前回は4月を14勝8敗と勝ち越したものの5月は11勝11敗とペースダウン。6月に入ると投手陣の不振が響き5勝14敗と失速し、4位まで転落。以後9月まで月間負け越しが4カ月続き、5位に終わった。

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