「困ったときのボブ」楽天・川井 今季初登板初先発1勝

[ 2014年5月6日 05:30 ]

<西・楽>楽天先発の川井は5回2/3を無失点の力投で今季初勝利を挙げる

パ・リーグ 楽天5―0西武

(5月5日 西武D)
 ひょうひょうと、丁寧に。楽天・川井は表情を変えることなく投げ続けた。5回2/3を4安打無失点。今季初登板初先発だった16年目の左腕が、ローテーションの谷間で大きな白星をもたらした。

 「無失点でマウンドを降りることができたのはうれしい。序盤バタバタしてしまったけど、野手の方が点を取ってくれて投げやすかった」

 びっくりするような球はない。この日の直球の最速は139キロ。それでもスライダー、シュート、フォークと持ち球をフル活用してコーナーを丹念に突いた。3回2死満塁のピンチでは大阪桐蔭の後輩・浅村にタイミングが合っていなかった直球を3球続けて左飛。「逃げ道はないので思い切って腕を振った」。打者を観察して料理する37歳のベテランらしい投球。同じく後輩の中村からも空振り三振を奪うなど3打数無安打に抑えた。

 「困ったときのボブだね」。星野監督から愛称で呼ばれて重用されている。昨年は6月27日西武戦(大宮)で初先発して白星を挙げると3連勝。球団初の日本一に少なからず貢献した。12年も5月から6月にかけて2勝した。新人・松井裕は成績が振るわず2軍に落ち、昨季日本シリーズMVPの美馬も右下腹部の打撲で戦列を離れた。先発駒不足の中で再び救世主となり、星野監督は「よう投げてくれました」と最敬礼。「俺より給料が高いわ」と毎年恒例になったシーズン途中からの貢献を冗談めかした。

 負ければ、今季最多の借金5となる窮地を救った左腕。「早く(1軍に)上がりたいんですが、いつもこの時期ですね」と苦笑いしたが、チームが苦しい時の好投こそ「困ったときのボブ」の真骨頂だった。

 ▼楽天・嶋(川井をリードし)右打者の内角へのスライダーが良かった。ベテランらしい味がありましたね。

 ▼楽天・岡島(3回、初球を先制の中越え4号ソロ)初球から積極的にいこうと決めていた。

 ◆川井 貴志(かわい・たかし)1976年(昭51)9月16日、大阪府生まれの37歳。大阪桐蔭では3年夏の大阪大会4回戦で敗れ、甲子園経験なし。城西大に進み、98年にドラフト3位でロッテ入団。06年5月に楽天にトレード移籍。愛称のボブは大学時代に先輩から「(野球漫画の)キャプテンに出てくるボブに似ている」と言われたことがきっかけだが、ボブという人物は登場していない。通算290試合で28勝27敗、防御率4.30。1メートル80、84キロ。左投げ左打ち。

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