石井一久氏が語る“愛弟子”の凄さ 岸の良さは“プライドのなさ”

[ 2014年5月3日 12:28 ]

昨年9月、石井氏(右)は誕生会での岸とツーショット

 西武・岸のノーヒットノーランをスポニチ本紙評論家の石井一久氏(40)も祝福した。昨季まで6年間チームメートで、オフも毎年一緒に自主トレを行っていた間柄だ。石井氏もヤクルト在籍時の97年に達成している快挙。公私ともに親しい兄貴分が素顔の岸について語った。

 普段の岸はとても物静かで、体も細いのでユニホームを着ていない時は「その辺のお兄ちゃん」という感じ。試合前、ロッカールームでもいつも自信なさそうにしているが、マウンドに立つと「投手」の顔になる。

 08年に巨人を倒した日本シリーズ。2年目の岸は大車輪の活躍でMVPに輝いた。第4戦で完封し、王手をかけられた第6戦でもリリーフで好投。その夜、食事に誘ったが、疲労で動けないぐらいクタクタだったのを覚えている。当時はまだスタミナに課題があった。でも、それから努力し、体も本当に強くなった。

 岸の良さは、いい意味でプライドがないこと。例えばハワイでの自主トレ。僕と岸と(菊池)雄星は毎晩、ベランダで野球の話をした。そういう時でも岸は、筋力トレーニングに詳しい年下の雄星にいろいろ質問する。後輩にも「教えてほしい」と言える。それが成長につながっている。

 僕の考えでは、エースの条件はずばぬけた球を持っていること。そういう意味では岸は「最強の2番手」だと思っていた。でも、今季は涌井も抜けて意識も変わってきた。今年1月のハワイ自主トレ。岸は引退した僕に「カズさん、一緒に来てくださいよ」と言ってきたが、僕は遠慮した。エースになるには、みんなをまとめていくことも必要だと思ったのも理由の一つ。この自主トレには、西武の投手6人が参加したが、岸が積極的にリードしていたと聞いた。技術面でも精神面でも「最強の2番手」から「真のエース」への階段を着実に上っていると思う。

 たくさんの人からノーヒットノーランのお祝いメールが届いていると思うので、僕は翌日にしようと思う。岸は、僕が引退した後でもサポートをしていきたいと思える後輩だ。(スポニチ本紙評論家)

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2014年5月3日のニュース