乱闘寸前マシVSバレ 大荒れ一戦は阿部が決着弾

[ 2014年4月17日 05:30 ]

<ヤ・巨>10回表、先頭の阿部がこの日2本目の勝ち越しソロ

セ・リーグ 巨人9-8ヤクルト

(4月16日 神宮)
 巨人は16日、ヤクルトと対戦。両軍合わせて28安打の大乱戦となったが、阿部慎之助捕手(35)が8―8で迎えた延長10回にこの試合2本目となるソロ本塁打を放ち、決着をつけた。4時間15分に及んだ死闘では、9回2死から同点の7号ソロを放ったヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)と、被弾した巨人のスコット・マシソン投手(30)が激しく口論、両軍ナインがグラウンドに入り乱れる一幕も。主将の2振りで、巨人が連敗を4で止めた。

 野球とは人生そのものだ。長嶋茂雄終身名誉監督の言葉を地でいくような、浮いたり、沈んだりのドラマ。8―8の延長10回。先頭で、この試合2本目となる決勝の右越えソロを放った阿部から出た言葉は本音だった。

 「見ている方も疲れたと思うけど、やっている方は10倍疲れた。打った瞬間はうれしいのと、本当にこれで終わるのかな、と思った」

 3度試合をひっくり返しても追い付かれた。阿部が5回に開幕からチーム16試合、自身50打席目での今季1号となる右越え同点ソロを放ったのは、遠い昔のようだった。それでも最後まで集中力は切らさなかった。

 4時間15分の大乱戦。延長戦直前には、神宮球場が異様な雰囲気に包まれた。8―7で1点リードの9回2死無走者。勝利まであと1アウトというところで、あわや乱闘の騒ぎが起こった。4番手のマシソンがバレンティンに左翼席に運ばれた。土壇場で試合を振り出しに戻す一発に、バレンティンは大きく広げた両手をパチンと叩いた。この動作をオーバーアクションと捉えたのがマシソン。普段は温厚な右腕が突然、バレンティンに向かって吠えまくった。ダイヤモンド一周の間、罵声の応酬。三塁ベースを回ったバレンティンは、マシソンに「ホームベースまで来い!」と言わんがばかりに手招き。生還すると、両者はにらみ合い、一歩、二歩と歩を詰める。阿部が1メートル85、100キロのバレンティンを、ヤクルト・福地コーチが1メートル91、104キロのマシソンを必死に押さえた。

 試合後、マシソンは「野球なのでお互い熱くなることはある。ただそれだけ」。バレンティンも「自分は間違ったことはしていない。白熱した試合で本塁打を打ったうれしざを表現したつもりだが、向こうは気にくわなかったのだろう」と落ち着きを取り戻した。

 だが、誰よりも冷静だったのは阿部だった。問題の場面についても「あいつ(マシソン)が悪い。打たれたのに、負け犬の遠吠えというかね」。敵将のヤクルト・小川監督にも事情説明して矛を収めてもらった。

 だからこそ、決勝弾が打てたのだろう。5日の中日戦(ナゴヤドーム)で左ふくらはぎへの死球を受け、10日の広島戦(東京ドーム)で復帰後は11打数1安打、打率・091。それでも、この日は開幕2戦目以来の5番に座った。そして、「最短距離でバットが出てくれた」と2本塁打とも滞空時間の長い、阿部らしい本塁打だった。

 山口、西村、マシソンと頼みの救援陣が総崩れとなった中で、連敗は4で止まった。原監督も「きょうはワンプレー、ワンプレーを話していたら、夜が明けちゃうよ」と苦笑い。阿部の2発がチームを救った。

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