藤浪 20歳1勝1号 江夏以来球団47年ぶり一発「自分でもびっくり」

[ 2014年4月16日 05:30 ]

<広・神>投げて打っての大活躍だ!プロ1号となるソロ本塁打を放ち、笑顔でガッツポーズをする藤浪

セ・リーグ 阪神8-2広島

(4月15日 マツダ)
 1勝だ、1号だ!阪神の藤浪晋太郎投手(20)が15日、広島戦で7回を4安打2失点、7奪三振で今季初勝利を挙げた。6回にはプロ2年目で初本塁打となる右中間1号ソロを放ち、自らを援護。12日に20歳の誕生日を迎え、最初の登板試合で投げて打っての大活躍だ。チームを昨年7月以来の6連勝、02年以来12年ぶりの両リーグ10勝一番乗りに導いた。首位・広島との直接対決初戦に勝ち、ゲーム差なしに肉薄。16日の第2戦で首位を奪う。

 打った本人が一番驚いた。4点リードで迎えた6回。先頭で打席に入った藤浪は、広島のルーキー九里が投じた外角直球を振り抜いた。打球を見上げると、右中間席へと消えた。プロ2年目での初アーチに、二塁ベース手前でガッツポーズだ。

 「無我夢中だったので、よく覚えていません。自分でもびっくりしています」。プロ1年目の昨季は37打数1安打、打率・027。三振は19を数えた。ただ、大阪桐蔭3年時に春夏連覇した12年の甲子園では、センバツと夏に1本ずつ本塁打を記録。1メートル97の長身だけに「当たったら飛ぶ方。試合では当たりませんけど」。当たった。それも逆方向に叩き込んだ。

 マウンドでも力投した。広島打線に効果的だったのが、今季から握りを浅くし「スプリットに近い感じ」となったフォークだ。初回に菊池から空振り三振、4回1死一、二塁のピンチで松山を一ゴロに。ヤンキースの田中を参考に試行錯誤した球種を「自分でも良かったと思う」と自賛した。過去2試合で失点が目立った終盤は得意のカットボールを多投。「前半使っていなかったが、後半厳しいところに要求してくれた」と、初めてバッテリーを組んだ鶴岡の巧みなリードに感謝した。

 「正直、ホッとしました。勝てなくて苦しい時期もあったので」。12日に20歳の誕生日を迎え、最初の登板試合。7回を2失点に抑え、昨年8月31日広島戦(甲子園)以来227日ぶりに白星をつかんだ。高卒2年目までの投手が本塁打を打ち、勝利投手となるのは球団史上初の快挙。前日、坂井信也オーナーから「白星をつけてもらわな、チームも困る」とハッパをかけられ、投打にわたって期待に応えた。

 登板後は必ず自らの投球映像を見て、反省点を探る。今季も過去2度の敗戦を分析し、試合終盤の制球の乱れ、集中力の低下を「敗因」に挙げた。その姿勢は本業以外でも変わらない。昨年11月27日、人生初のゴルフに挑戦。だが134を叩き、参加29人中最下位に沈んだ。その日の夜だ。藤浪の姿はゴルフ練習場にあった。「敗因」を探り、黙々と300球を打ち込んでフォーム修正に取り組んだ。その結果、翌28日のスコアは103。たった一夜で31打も縮めてみせた。

 チームを6連勝に導き、首位・広島にゲーム差なしに迫った。「1試合目、2試合目とふがいない投球をしたので、その失敗を取り返せるよう、チームの勝ちに多く貢献できるようにやっていきたい」。藤浪は阪神ファンに誓い、16日の首位奪取を願った。

 ≪江夏以来球団47年ぶり一発≫藤浪(神)が今季初勝利。広島戦は昨年から4試合に登板し、-○○○と無傷の3連勝(防御率1・71)となった。6回にはプロ入り初の本塁打。高卒2年目までの投手の本塁打は昨年大谷(日)が1年目で3本マークしているが、全て野手としての出場試合。自らの登板試合で放ったのは08年9月28日ヤクルト戦の前田健(広=2年目)以来6年ぶり。阪神では67年4月23日中日戦で新人の江夏がマークしたのに次ぎ47年ぶり2人目になる。前田健は本塁打した試合に7回2失点で勝利投手になったが、江夏は勝ち負けがつかず。高卒2年目までに同一試合で「勝利と本塁打」は藤浪が球団史上初めてだ。

 ≪主な甲子園優勝投手のプロ1号≫

 ☆水野雄仁(池田→巨人) 3年目の87年5月30日の阪神戦(後楽園)に先発。3回に池田から同点ソロを放ったが、わずか4回2/3を3失点KO。3―4で敗れ、祝砲にはならず。

 ☆桑田真澄(PL学園→巨人) 2年目の87年7月8日の広島戦(札幌)の4回、バックスクリーンへの3ランでプロ初アーチ。投げても広島打線をわずか3安打に抑える快投。156球を投げ切り、プロ初完封勝利。

 ☆松坂大輔(横浜→西武) 8年目の06年6月9日の阪神戦(甲子園)の8回、ダーウィンの高めの直球を振り切って左中間への2ラン。投げては毎回の14奪三振など、1失点完投勝利。通算100勝に王手をかけた。

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