甲子園の地の利生かした!手堅い守備、ポール際伸びる打球

[ 2014年4月12日 08:02 ]

<神・巨>6回無死一塁、アンダーソンの打球を処理する上本

セ・リーグ 阪神5-1巨人

(4月11日 甲子園)
 「パーク・ファクター」(球場要因)という言葉がある。広さや形状、気候など球場(ボールパーク)の要因(ファクター)を示す指標だ。特に球場別の本塁打や得点で比較される。当然だが、球場に応じた戦い方をしなくてはならない。

 昨季、12球団本拠地球場の1試合平均本塁打をみると、東京ドームは1・42本で神宮の1・49本に次いで本塁打がよく出ていた。甲子園は半分以下の0・63本で、ナゴヤドームの0・43本に次いで少なかった。

 東京ドームでの開幕3連戦(3月28―30日)で阪神は総得点12―総失点27と打撃戦の末、1勝2敗だった。やはり甲子園では投手戦となった。

 「あれはいったと思った」と試合後、バッテリーコーチ・山田勝彦が正直に漏らしたのは、2回表、阿部慎之助の右飛と4回表、村田修一の左飛だった。ともにフェンス際で捕球する大飛球だった。「東京ドームなら余裕でホームランでしょ」と振り返った。

 ではなぜ、さく越えにならなかったのか。むろん、広くて打球の飛ばない甲子園ということが言える。山田は「力のある球だったからでしょう」と言った。「甲子園なら大胆な攻めができるというのもバッテリーの心の中にある。しかし、本当は東京ドームこそ大胆に攻めないと、逃げていてはやられる。結局、球に力があったんですよ」

 さらに重要なのが守備力だ。この点で光ったのが6回表、無死一塁でレスリー・アンダーソンの一、二塁間のゴロに逆シングルで飛びついたマウロ・ゴメスと、ミットに当たった球をカバーした上本博紀である。抜けていれば無死一、三塁を1死二塁でとどめた。

 そしてむろん、マット・マートンの3ランは大きい。両翼ポール際は伸びる、というのも甲子園の特徴である。

 大リーグ・オリオールズで17年間監督を務め、殿堂入りした名将アール・ウィーバーの名言「野球は投手、守備、そして3ラン」を思う。まさに言葉通りの試合だった。

 ただし、ウィーバーはバント、ヒットエンドラン、盗塁を好まなかった。この点で、この夜の阪神と決定的に異なる。マートンの二盗や大和の送りバントなど機動力で得点圏に走者を置いた。杉内俊哉に重圧をかけ、失投を呼んだと信じたい。これも甲子園らしい野球である。 

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