イチロー 40歳激走!「チャレンジ」が呼んだ逆転劇

[ 2014年4月6日 06:32 ]

<ブルージェイズ・ヤンキース>3回2死二塁、イチローの二ゴロはチャレンジ後に内野安打になる

ア・リーグ ヤンキース7―3ブルージェイズ

(4月4日 トロント)
 帰り支度を終えたヤンキースのイチローは田中の元に歩み寄った。「おめでとう。よかったな」。今季からチームメートになった15歳年下の後輩を祝福した。

 イチローも田中のメジャー初勝利に大きく貢献した。今季初出場した前日に続く、スタメン。2―3で迎えた3回の逆転劇は、40歳の激走がもたらした。2死二塁で、二塁ベース付近への高いバウンドのゴロに「セーフ!」と叫びながら一塁を駆け抜けたが、判定はアウト。しかし、ベンチから飛び出したジョー・ジラルディ監督は今季から導入された「チャレンジ」の権利を行使し、ビデオ判定を要求した。

 「際どいけどセーフ寄りという感じはあった」。ベンチで待つイチローには自信があった。そして、チャレンジの結果は「セーフ」。本来なら攻撃終了のはずが、判定が覆り、2死一、三塁からプレーが再開した。すると、続くソラルテが右中間を破る適時二塁打で、イチローが一塁から逆転のホームを踏んだ。

 5回には左前打、9回には投手内野安打で今季初の3安打をマークし、2戦合計で9打数5安打、打率・556としたイチロー。右翼から見つめた田中の背中は頼もしかった。「日本で成績を残した人ほど、最初は(周囲が)異常な状態になる。(本人の)通常な精神状態を邪魔することが一番多い」。重圧をはねのけて数多くの偉業を成し遂げてきた希代のヒットメーカーだけに、田中の背負うものの大きさは痛いほど感じていた。

 その重圧の中で初勝利を挙げた田中を「7回を100球以内で終わらせるのは凄いことだと思いますよ。いろんなことを加味してもね」と称賛した。公式戦初の共演となった2人が、間違いなくチームの今季初の連勝の立役者だった。

 ▽チャレンジ 今季から「ストライクかボールか」「スイングしたかどうか」などを除くほとんどのプレーにビデオ判定が適用。監督はビデオでの審議を求める1度の「チャレンジ」の権利を持ち、判定が覆った場合は2度目の要求が可能になる。7回以降は責任審判員が必要に応じて利用可能。

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2014年4月6日のニュース