マー君の駒苫「15」継承、2年・伊藤大 先輩超え完封

[ 2014年3月23日 05:30 ]

<駒大苫小牧・創成館>3安打完封勝利を挙げた駒大苫小牧・背番号15の伊藤大

第86回選抜高校野球大会1回戦 駒大苫小牧3―0創成館

(3月22日 甲子園)
 1回戦3試合が行われた。第1試合では9年ぶりに出場した駒大苫小牧(北海道)が創成館(長崎)を3―0で下し、2回戦に進出。先発した伊藤大海(ひろみ)投手(2年)が3安打に抑え、公式戦初完封勝利を挙げた。第3試合は初出場の豊川(愛知)が日本文理(新潟)相手に延長13回サヨナラ勝ちを収め、春夏通じて甲子園初勝利をマークした。

 人懐こい笑顔がはじけた。9回1死一塁、2年生右腕・伊藤大は牧野を三ゴロ併殺に仕留め、有言実行の完封勝利。現在ヤンキースに所属する偉大な先輩・田中将大がエースだった06年夏以来の甲子園勝利に導いた。

 「初回を抑えて“いける”と思った」。先頭打者に左翼線二塁打を許したが、冷静だった。4番・小野田から空振り三振を奪った直球は、自己最速を2キロ更新する139キロを計測。2回以降はリズムに乗り、内外角の出し入れ、スライダーを有効に使いながら120球で投げきった。許した安打はわずか3本だった。

 9年前の春。当時2年生だった田中は初戦の戸畑(福岡)戦で1失点完投勝利を挙げた。伊藤大は大会前「超えられるように頑張りたい」と話していた。背番号15は、田中が駒大苫小牧で最初に背負った番号。「田中さんは気持ちを前面に出すところが素晴らしい。ついていきたい」と憧れの存在だ。その田中が、3度の甲子園出場で一度もできなかった完封をやってのけた。

 母・正美さんが「大きくなってほしい」という思いから名前は「大海」。趣味の釣りは田中の高校時代と同じで、何よりの共通点は負けず嫌い。この冬は「何でも1位になる」をテーマに、短距離ダッシュでも、雪の上を走る7キロ走でも先頭にこだわってきた。

 04年夏の同校初優勝時に主将を務めていた佐々木孝介監督は「魂は10年前と何も変わらない」と喜んだ。2回戦の相手は履正社(大阪)。ともに初戦で完封した溝田との2年生対決へ向け、伊藤大は言った。「同学年でライバル心を持っている」。その言葉は、田中先輩のように力強かった。

 ◆伊藤 大海(いとう・ひろみ)1997年(平9)8月31日、北海道茅部郡鹿部町生まれの16歳。小2から野球を始め、中学時代は函館東シニアに所属。昨秋からベンチ入り。好きな言葉は勢いが盛んなことを意味する「竜驤虎視(りゅうじょうこし)」。家族は両親と姉、弟。1メートル73、67キロ。右投げ左打ち。

 ≪8年ぶり≫駒大苫小牧は背番号15の2年生、伊藤大が3安打完封勝利。センバツで背番号2桁の2年生による完封は、06年開幕戦で神港学園の背番号12・林が南陽工を完封して以来8年ぶり。

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