楽天・松井裕 憧れ尚成と投げ合った 初失点も自己最速150キロ

[ 2014年3月20日 05:53 ]

<D・楽>2回1死一、二塁、宮崎(左)に右適時二塁打を打たれる松井裕

オープン戦 楽天2―4DeNA

(3月19日 横浜)
 あれから8カ月。人目もはばからずに号泣した横浜スタジアムで、楽天の松井裕の直球がうなりを上げた。初回1死。白崎から空振りを奪った4球目。スコアボードが「150キロ」を示した。桐光学園時代に149キロだった自己最速を更新した。

 「(スピードガンの設定が)緩いからですよ。でも、試合前のブルペンから直球の調子が良かった」

 初回。先頭の井手を5球連続直球で空振り三振。続く白崎も自己最速の直球で追い込み、最後は145キロの直球で見逃し三振だ。金城はチェンジアップで空振り三振に斬り、3者連続三振を奪う圧巻の立ち上がり。2回は一転、先頭打者のブランコを追い込みながら左前打を許したのをきっかけに2失点。「打たれた球は高かった」と反省したが、ショックを引きずることなく3、4回は無失点。初めて中5日での登板となったが、4回2失点でしのいだ。

 フォーム修正が奏功した。過去3度の登板では直球を投げる際、リリース時に体が三塁方向に流れて引っかけてしまうことが多々あった。今回の登板間での2度のブルペン投球では踏み出す右足が三塁方向に流れないよう修正。体重が真っすぐ捕手方向に移動するようになり、直球の威力が増した。前回13日のオリックス戦(京セラドーム)で投じた65球で直球27球のうちストライクゾーンに入ったのは10球。この日は69球で直球38球も投じ、28球も制球させた。

 高校最後の夏、昨年7月25日。横浜スタジアムで行われた神奈川大会準々決勝で横浜と対戦した。2本塁打を浴び8回3失点で甲子園出場の夢を断たれた。この日マウンドに立っていたのは、涙を糧に成長した18歳の姿だった。

 もう一つ奮起する材料があった。DeNAの先発の尚成。松井裕は小学3年だった05年に野球雑誌の懸賞に応募して当選し、当時は巨人のエースだった左腕に東京ドームの試合前セレモニーで花束を渡したことがある。憧れだった投手との投げ合いながら、堂々と渡り合った。

 オープン戦4試合、計16回で2失点、防御率1・13。「まだ課題は多い。やれることはやりたい」。いよいよ怪物左腕のシーズンが開幕する。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ 高校出てすぐに、これだけ投げられるとは思わなかった。今の投げ方では疲れるけど、試合ではそのままいかせている。(フォームを)直せばバランスも良くなって、もっと球速も出る。

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