マー君にメジャー流調整の誤差 投げ込み少なくフォームにブレ 

[ 2014年3月18日 05:30 ]

<ヤンキース・ブレーブス>5回1死の場面で降板した田中はナインに迎えられる

オープン戦 ヤンキース7―4ブレーブス

(3月16日 タンパ)
 うれし恥ずかし総立ち拍手だ。ヤンキースの田中将大投手(25)が16日(日本時間17日)、ブレーブス戦に先発し、4回1/3を3安打1失点。6三振を奪い、昨季ナ・リーグ東地区王者の強力打線を相手に結果を出した。オープン戦3試合目で初めて四球を許すなど投げ込み不足の影響から投球フォームを崩し、74球で5回途中降板。不本意な投球ながら、降板時にはスタンディングオベーションが起こった。

 手を上げることも、目線を上げることもしなかった。5回、先頭グリーンを空振り三振に仕留めたところで74球。球数のメド(75球)に差し掛かり、田中は回の途中で降板した。ここで思わぬスタンディングオベーションを受け、戸惑った。

 「もちろん耳に入っていたし、あれだけの歓声はうれしかったですけど、投球内容としては、そんなに良くなかったので。照れくさいというより、どうしたらいいのか分からなかった」。回の途中で降板するのは、楽天時代の12年8月19日西武戦(西武ドーム)で5回0/36失点KOされて以来。不思議な感覚だった。

 昨季ナ・リーグトップの181本塁打を誇るブレーブス打線を4回1/33安打1失点。6三振を奪い、昨季までブ軍に所属した正捕手のマキャンは「4つの球種(スライダー、スプリット、カットボール、ツーシーム)で空振りを奪ってストライクが取れる。ただ者じゃない」とうなった。ただ、本人は納得していない。収穫はスライダー。カウント球としても決め球としても効果的に使い「こっちに来て一番良かった」と手応えを得た。課題を残したのはスプリット。初回、昨季23本塁打の3番フリーマン、同27本塁打の4番J・アップトンに宝刀を抜き、連続三振を奪った。同球種で4奪三振。だが高めに浮く場面も目立ち「修正していかないといけないボールの一つ」と話した。

 投球フォームの乱れもあった。3回1死一塁から、オープン戦3試合目で初めて歩かせるなど計2四球。「回が進んでいくにつれてばらつきが出てしまった。少し(体の開きが)早くなっていた」。本来なら尻上がりに調子を上げるタイプ。“尻下がり”はメジャー流調整の難しさの表れだ。

 日本より登板間隔の短い中4日が基本のメジャーでは、練習から投球数が厳密に管理される。この日は試合前の32球の投球練習と合わせ106球。渡米後初めて一日で100球を超えた。通算では2月15日のキャンプインから約630球。楽天時代の昨年は1カ月以上早い2月9日にブルペンで100球(119球)を超えていた。通算でも同時期で約1000球。練習で投げていない球数になって出た投球フォームのぶれを修正する作業は簡単なことではない。

 それでも先発として試合をつくる。次回は中5日で22日(日本時間23日)ツインズ戦。開幕まで残り2試合となった。「少しずつ(課題を)つぶしていって(状態を)上げていければいい」。実戦で肩のスタミナをつくりながら、結果も出し続ける。田中には、それができる。

 ▼ブ軍B・アップトン(中前打と空振り三振)同じ腕の振りで球速が違う球が来るから、打つのが本当に難しい。間違いなくいい投手。

 ▼J・アップトン(初回にスプリットを見逃し三振。4回も遊ゴロ)いいところに沈んで手が出なかった。緩急をつけて制球もいいし、打つのは難しい。

 ▼ヘイワード(投ゴロと四球。10年球宴出場)たくさん球種を持っているから、辛抱強く打てる球を見極めないといけない。

 ▼アグラ(一邪飛と四球。メジャー通算231本塁打)球種のコンビネーションが良かった。メジャーでも十分通用する。

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