“勇気づけること”が楽天の使命…松井裕「貢献したい」

[ 2014年3月12日 05:30 ]

ブルペンで投げ込む松井裕

 今年も被災地に笑顔を届ける――。2011年3月11日に発生した東日本大震災からちょうど3年となる11日、岡山県倉敷市に滞在している楽天は全体練習の前にチーム全員が輪になって1分間の黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈った。昨季は球団創設9年目で初の日本一に輝いた星野仙一監督(67)や、新人の松井裕樹投手(18)らナインは、あらためて恒久的な支援活動と日本一を連覇することで被災地を勇気づけることを誓った。

 半旗が掲げられた倉敷マスカットスタジアム。首脳陣、選手、スタッフら全員がグラウンドに集まり、マウンドを中心にして輪になった。1分間の黙とう。東北を本拠地とするチーム、そしてプロ野球選手にしかできないことがある。星野監督がナインの心を代弁した。

 「野球を職業にしているからには勝つしかない。根本は変えられないかもしれないけど、瞬間、瞬間で(被災者の苦労を)忘れさせることができればいいと思っている」

 星野監督は東北を本拠地とするチームとして「それ(勝って被災地を勇気づけること)は使命だし、背負っていかなければいけないもの」と語気を強める。ドラフト1位で入団した松井裕も同じ使命を担う。この日から球団公式サイトで視聴が可能となった監督、選手らの動画メッセージでは色紙に「全力」と書き込んだ左腕は「自分の全力のプレーで昨年の(日本一になった)楽天のように感動を与えられたらいい。微力ですけど貢献したい」と決意。13日のオリックス戦(京セラドーム)での先発に向けブルペン投球も行った。オープン戦ではここまで2試合連続で零封。新人ながら開幕ローテーション入りを期待されるなど、復興新時代への担い手としての期待も高まっている。

 3年前の地震発生当時、チームは兵庫県の明石でオープン戦を行っていた。「すぐに被災地に行きたい」と声が上がったが、星野監督は「プロとして練習を続けるべきだ」と主張。就任1年目で選手との間に大きな溝ができた。2年間はBクラスに低迷。それでも粘り強くナインと向き合い、3年目の昨季に東北悲願の日本一を達成した。

 星野監督は言う。「3年前に比べれば物凄く平和に感じるが、まだ3年。去年の優勝も仮のお茶の間(仮設住宅)で、心から喜べなかった人もいただろう」。エースの田中はヤンキースに移籍したが、松井裕、森ら次代のエース候補の芽は育ちつつある。忌まわしき大震災から3年。どれだけ時間が経過しても、楽天の使命は変わらない。

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