盗塁阻止率1割台の屈辱…ソフトB鶴岡「急がば回れ」

[ 2014年3月11日 10:00 ]

盗塁阻止率向上をテーマに掲げる鶴岡

 ソフトバンクの鶴岡には自負がある。「自分は守備の人間なので」。昨季はキャリアハイとなる打率・295を記録したものの、打撃に関する取材になると急に口が重くなり、決まってこの口癖が出る。

 日本ハムからFA移籍1年目。春季キャンプで取り組んだ課題も「守備」だった。昨季はリーグワーストの盗塁阻止率・188。盗塁阻止は投手のクイックモーションとの共同作業だが「あの数字は悔しかった」と責任を背負い込んでいた。これまでは、いかに素早く二塁へと投げるかを考えたが、田村バッテリーコーチのアドバイスで発想を転換。「しっかりとした形で二塁へ強い球を投げるようにしました」。速さを追求するあまり、正確性やボールの質には目をつぶってきたが、確率を上げるためには「急がば回れ」が近道だと新天地で気づかされた。

 結果は出ている。4日の阪神戦(ヤフオクドーム)では西岡、鳥谷を刺した。オープン戦では盗塁を計5度企てられ、4度刺した。「シーズンになれば分かりませんよ」と鶴岡は気にも留めないが、阻止率8割は継続した努力への対価だった。指導にあたった田村コーチも「今の感じで行けば(阻止率が)1割台ということはないだろうね」と成長を確信する。

 日本ハム時代はダルビッシュ(レンジャーズ)とのコンビが多く「ダルの正妻」と言われた。ただ、他の試合では大野との併用。昨季は代打起用も多かった。目標は正真正銘の正捕手だ。「まだまだ。亨さん(細川)に追いつくにはたくさん試合に出ることが大切」。鹿児島県出身。「九州には現役のうちに恩返しをしないといけない人がたくさんいる」。鶴の恩返しが始まる。

 ◆鶴岡 慎也(つるおか・しんや)1981年(昭56)4月11日、鹿児島県生まれの32歳。樟南では2年春と3年夏に甲子園出場、3年夏に4強入りした。三菱重工横浜クラブに進み、02年ドラフト8巡目で日本ハム入団。09年にゴールデングラブ賞、12年にはベストナインを獲得した。通算767試合で打率・241、11本塁打、174打点。1メートル77、77キロ。右投げ右打ち。

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2014年3月11日のニュース