ダル イケる35勝 完璧フリー初登板に指揮官“マー君より上”

[ 2014年2月20日 05:43 ]

打撃練習に登板し、マイナーの打者を圧倒したレンジャーズのダルビッシュ。右はマダックス投手コーチ

 35勝も夢ではない。レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)がキャンプ2日目の18日(日本時間19日)、マイナー打者相手のフリー打撃に初登板した。19球で安打性の当たりを許さず球威も、制球も十分。昨季終盤に悩まされた腰の神経障害の影響も全く感じさせなかった。すでに3月31日(日本時間4月1日)の開幕投手に指名しているロン・ワシントン監督(61)は、今季の成績として「35勝」という驚天動地の数字を口にし、不動のエースへの高い期待感を示した。

 「グシャ」。鈍い破壊音からダルビッシュの14年が始まった。目慣らしの意味もあり、4球見送っていたウィリアムズが、初めて手を出した5球目だ。スライダーでバットをへし折り、力ない飛球は中堅方向へ。以降も前に飛ばされたのは1球だけで、バットにまともに当てさせなかった。

 セットポジションからの19球で、安打性はゼロ。スライダー、カーブ、ツーシーム、チェンジアップと変化球も織り交ぜた。「投げたいところに投げたいボールが投げられたし、力も凄くあったと思います」。腰の神経障害の影響は感じさせず「痛いところとかそういうところはなく、健康にできていると思います」と笑顔だった。

 圧巻の投球に指揮官の声も躍動した。3月31日(同4月1日)フィリーズ戦での開幕投手に指名したワシントン監督は「去年は援護点が少なく苦しんだ。打線がサポートできれば35勝するかもな。32回の先発で、35勝だ」と上機嫌だ。大リーグの先発投手は、ローテーション通りに回って32試合前後の先発と決まっている。独特のジョークには違いない。だが極上のリップサービスの裏には絶大な信頼がある。今季、日本からは24勝0敗という成績を引っ提げ、田中がヤンキースにやってきた。しかし指揮官は「日本では24勝0敗だってな。でも有はモチベーションを上げるために、人の影響が必要な選手では、もはやない」と語る。向上心の高さを間近で見続けるからこその言葉だった。

 ダルビッシュにも自負がある。「僕は日本の、アジアの選手の評価を上げるという目的で来て、来た時はどん底でしたから。僕と、黒田さんと、岩隈さんと、柳(ドジャース・柳賢振(リュ・ヒョンジン))がいたから、いろいろ助けることはできたかなとは思います」。2年間で自らの力を示し、昨季はサイ・ヤング賞の投票で日本人史上最高位の2位に入った。腰の神経障害を克服して臨む3年目。いよいよその真価が問われる。

 ▼レンジャーズ・ウィリアムズ 最初のスイングでバットを折られてしまったよ。素晴らしい内容に抑えられた。

 ≪メジャー記録は59勝≫大リーグで35勝以上を記録した投手は、1884年グレイズの右腕チャールズ・ラドボーンの59勝を筆頭に延べ70人いるが、近代野球と呼ばれる1900年以降では5人。最後は417勝右腕のウォルター・ジョンソン(セネタース)で、1913年に36勝を挙げた。最優秀投手賞に名前が残っているサイ・ヤングは1892年に36勝、95年に35勝。日本では1939年スタルヒン(巨人)、61年稲尾和久(西鉄)の42勝を筆頭に延べ8人が記録している。

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2014年2月20日のニュース