矢野燿大氏 “石仏”呉昇桓の本音キャッチ「心の中はつらいです」

[ 2014年2月18日 08:50 ]

スポニチ本紙評論家・矢野氏(左)との対談で活躍を誓った呉昇桓

 「石仏」が抑えならではの、知られざる苦悩を明かした。阪神・呉昇桓(オ・スンファン)投手(31)がスポニチ本紙評論家・矢野燿大氏と対談。矢野氏が捕手ならではの視点から本音を引き出すと、ユニホーム姿では決して見せない満面の笑みを浮かべるシーンもあった。

 矢野 よろしくお願いします。僕は2008年北京五輪で、韓国に負けた時のキャッチャーです。

 呉昇桓 あ~、あの時の! 自分はベンチにいました。

 矢野 いいね、金メダル持ってて。

 呉昇桓 でも、どこにあるか分からないんです。

 矢野 日本で野球をやることで環境が変わったと思うけど、ここまでどうですか?

 呉昇桓 今のところ、環境を気にするような余裕はありません。でもチームメート、監督、コーチが早く慣れるように手伝ってくれている。楽にできてます。

 矢野 日本食にも慣れた?

 呉昇桓 はい、もともと、日本食が好きだったので。

 矢野 ちなみに、韓国料理では?

 呉昇桓 基本中の基本ですが、キムチチゲは好きですね。

 スポニチ本紙記者 すみません。一つ聞かせてください。クローザーとして、今季こだわりたい数字はありますか?

 呉昇桓 これは、一番多い質問で…。

 矢野 そうだよね。それ、聞かなくても、俺が代わりに答えられるわ。チームが勝ってないと回ってこないし、自分の数字は気にならないよね! そういうことだよね(笑い)。ごめんね、変なこと聞いて。

 呉昇桓 はい、そういうことです。でも、大丈夫ですよ(笑い)。

 矢野 わざわざ通訳してもらわなくても、その答え分かってたもん(笑い)。僕もキャッチャーやってたから分かるけど、抑えはチームのすべてを背負う。精神的にも大変だと思う。やられた次の日の登板も難しいだろうし。

 呉昇桓 8回まで他のチームメートがゲームをつくってくれている。ストッパーはそのラスト1イニングを任されるわけです。その分、精神的にしんどいことは多いですよね。なぜかと言えば2時間、試合で勝っていたのに、9回、自分が打たれれば、最後の10分間で逆転されることもある。それは本当にきつかったです。でも、2種類あって、同じブローンセーブ(セーブがつく場面で登板しながらリードを守れないこと)でも、忘れて良いゲームと、忘れてはいけないゲームがあるんです。

 矢野 しんどいよね。抑えは。

 呉昇桓 失敗したときも眠れない日もあれば、ぐっすり寝られる日もあります。

 スポニチ本紙記者 マウンド上では決して笑わないと、聞いています。それは昔からですか?…。

 矢野 それも、俺が通訳しよか(笑い)。それは抑えを任される中で自然とそうなっていたのよ。そうだよね?

 呉昇桓 笑わないのは意識的にやっているわけじゃない。自然にやっていることなんです。

 矢野 ほら! でも、それはすごい能力。なぜなら、弱みを相手チームに見せると、それだけでつけ込まれてしまう。結果に左右されず、表情が変わらないのは、すごいことだと思う。

 呉昇桓 確かに、打たれたからといって、マウンドで感情を出すのは良くないです。ベンチ裏でやる分には良いけれど、自分が失敗して打たれていることですから。顔には出てなくても、心の中ではつらいです。

 矢野 それを聞いて、少し安心しました。そこまで強かったらどうしようかと思ったよ。ところで、抑えの経験しかないけれど、一度は先発したい、という気持ちはないのかな?

 呉昇桓 やらしてもらったこと、ないですからね…。

 矢野 フリー打撃もたまにやるみたいだけど、打ちたい気持ちは?

 呉昇桓 打席に入ったら、ダメだと思いますよ!

 矢野 最後に、メジャーを含めて、いろんな選択肢があったと思います。その中で阪神を選んだ理由を教えてください。

 呉昇桓 慎重によく考えましたが、阪神は最初から最後まで自分を必要としてくれていることを感じたからです。その決断に関し、これまで一度も後悔したことはありません。

 矢野 甲子園は本当に素晴らしい球場です。タイガースOBとして、活躍を心から願っています。

 ▽08年北京五輪の野球 星野監督が率いた日本代表は1次リーグを4勝3敗の4位で決勝トーナメントに進出も、準決勝で韓国に敗退。米国との3位決定戦にも敗れてメダルなしの4位に終わっている。矢野氏は4試合出場で1安打1打点の打率.200。韓国との準決勝では先発マスクをかぶった。韓国代表は日本戦の1次リーグ5―3、準決勝6―2など無傷の9連勝で初の金メダル。呉昇桓は大会直前からの不振が響き、登板は2試合のみの1勝1セーブ。日本戦での出番はなかった。

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